イラクサ科(APG分類:イラクサ科)の一年草。同属のミズに似て山地に生えるのでこの名がある。茎は多汁質で普通、紫色を帯び、高さ5~25センチメートル。葉は対生するが対(つい)になる葉は大きさや柄(え)の長さが違い、広卵形で長さは柄を除き0.5~3センチメートル。縁(へり)には数個の大きな鋸歯(きょし)がある。花序は葉腋(ようえき)から出て、直径2~5ミリメートルの球状で無毛の長い柄があり、中に少数の雄花と多数の雌花を含む。雄花の花被片(かひへん)は4枚、雌花の花被片は5枚である。北海道から九州の低山地の湿った場所に生育し、東アジアに分布する。中国名は山冷水花。近縁のミヤコミズP. kiotensis Ohwiは近畿地方以西に分布し、基本的特徴は本種に一致するが、全体が大きく、花序は雌雄別になることが多く、花序の柄に毛がある。また、本州(山口県)と九州の山地にまれに生えるチョクザキミズLecanthus peduncularis (Royle) Wedd.はミヤコミズに外見が似ているが、花序の柄の先端が著しく広がって皿状となり、つぼみの時は球状に花を包み込んでいる点が特徴的で、国外ではヒマラヤから東南アジア、中国南部にかけて広く分布する。中国名は假樓梯草。日本に分布することがわかったのは1992年と比較的新しい。
[米倉浩司 2019年12月13日]
…花被片の数はミズ属の分類上重要な特徴で,アオミズとミズは雄花の花被片が2枚である点でミズ属の中でも特殊な存在である(ミズ属では通常4枚)。より小型のヤマミズP.japonica (Maxim.) Hand.‐Mazz.では雌花が5枚の花被片をもち(ミズ属では通常3枚),別属とされることもある。若い植物は香りがよく,ゆでて食用とされる。…
※「やまみず」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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