改訂新版 世界大百科事典 「ユキヒョウ」の意味・わかりやすい解説
ユキヒョウ (雪豹)
snow leopard
Panthera uncia
食肉目ネコ科の哺乳類。ヒョウに似るが体は小型で尾が長く太い。かつてはシベリアから中央アジア,ヒマラヤまで広く分布したが,現在ではアフガニスタンからバイカル湖に至る高地とチベット東部に至るヒマラヤに分布。体長100~130cm,尾長80~100cm,肩高60cm,体重25~75kg。体毛は長く厚く,背面で4~5cm,腹面で8~10cmもあるが,頭や四肢では短い。地色は淡黄褐色を帯びた灰白色で,ヒョウに似た暗褐色の斑紋があるが,あまり鮮明でない。単独でくらし,夏には標高2700~6000mの高山帯の草原や岩場まで姿を見せるが,冬は獲物となる動物たちの移動に合わせ,1800m以下の森林に降りる。早朝と夕刻によく活動し,野生のヤギやヒツジ,シカ,イノシシ,マーモット,ナキウサギなどを捕食する。岩場での活動は敏しょうで,15m近くもジャンプするという。妊娠期間90~103日で,雌は4~6月に岩陰などで1産1~5,ふつう2~3子を産む。寿命は飼育下で15年8ヵ月の記録がある。
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報