アメリカの映画会社。1912年にカール・レムリCarl Laemmle(1867―1939)により設立される。エリッヒ・フォン・シュトロハイムによる超大作が話題となり、1920年代にはロン・チェイニーLon Chaney(1883―1930)の主演作品、1930年代初めはベラ・ルゴシBéla Lugosi(1882―1956)やボリス・カーロフBoris Karloff(1887―1969)主演のホラー映画を製作した。また、アカデミー作品賞受賞の『西部戦線異状なし』(1930)が反戦映画として高い評価を集めた。1936年、業績不振で創業者のレムリが引退。経営陣は低予算による製作を中心にし、1940年代はアボット&コステロAbbot & Costello(Bud Abbott、1897―1974とLou Costello、1906―1959)の主演作品が支えとなった。1946年、インターナショナル・ピクチャーズと合併し、ユニバーサル・インターナショナルと改称。1952年、デッカ・レコードによる買収に伴い、社名をユニバーサルに戻す。1962年、デッカがミュージック・コーポレーション・オブ・アメリカ(MCA)に併合されると、MCA傘下となる。1950年代から1960年代には、ロス・ハンターRoss Hunter(1920―1996)がプロデュースするメロドラマのリメイクや、ドリス・デイDoris Day(1922―2019)主演のコメディが人気となった。1960年代なかばにはテレビ番組の製作に力を入れ、そこで経験を積んだスティーブン・スピルバーグが、『ジョーズ』(1975)、『E.T.』(1982)、『ジュラシック・パーク』(1993)といったヒット作を同社に提供している。1990年(平成2)の日本の松下電器産業(現、パナソニック)による買収以降、外国のオーナー(1995年からはカナダのシーグラム、2000年からはフランスのビベンディ)が続いたが、2004年にアメリカのジェネラル・エレクトリックに売却され、テレビ・ネットワークのNBCと合併して今日に至っている。
[濱口幸一]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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