ヨウ素デンプン反応
ようそでんぷんはんのう
iodostarch reaction
デンプン溶液に冷時ヨウ素を作用させたとき青紫色を呈する反応。この反応は古くから知られ、反応機構については19世紀末より種々研究されている。きわめて鋭敏な呈色反応で、微量のヨウ素あるいはデンプンの検出に用いられ、とくにヨウ素滴定の終点指示に利用される。呈色の色調はデンプンの種類、分子量などに関係する。呈色の変化はデンプンの加水分解の程度を判定したり、アミラーゼ活性の測定などに利用される。ヨウ素デンプンの呈色の原因は、デンプン分子がそのグルコース残基6個を1巻きとする螺旋(らせん)構造をとり、螺旋の中心にヨウ素分子が直線的に配位したいわゆる包接化合物(クラスレイト)をつくるためであるとされている。
ヨウ素デンプン反応は牛乳などの食品や生体材料中のデンプンの検出や、ヨウ化カリウムデンプン紙を用いてヨウ化物イオンを酸化してヨウ素を遊離させるような酸化剤を検出するのに利用される。
[成澤芳男]
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ヨウ素-デンプン反応
ヨウソデンプンハンノウ
iodo-starch reaction
デンプンがヨウ素によって青紫色,あるいはそれに類似した色に着色する呈色反応をいう.この色は加熱により退色し,冷却すると再現する.この呈色はきわめて鋭敏であり,微量のデンプンまたはヨウ素の検出に利用される.その鋭敏さは,ヨウ素イオンの存在下,微酸性溶液においてもっともいちじるしく,10-5 mol 程度のヨウ素を検出できる.呈色の色調はデンプンの構造や分子量によって異なり,α-D-グルコース残基6個で1巻きのらせん構造をとるアミロースでは,その空間(約13 Å)に1分子のヨウ素が入り青色(λmax 650 nm)を与える.枝分れ構造のいちじるしいアミロペクチン(平均鎖長約25単位)ではヨウ素との結合力が弱く赤紫色(λmax 540 nm),平均鎖長のもっと短いグリコーゲンでは赤褐色の複合体(λmax 460 nm)を形成する.グルコース連鎖の直鎖状の部分が6以下では呈色しない.ヨウ素の結合量は電圧滴定法などで求められ,純アミロースでは18~20 mg/100 mg,アミロペクチンでは1以下なので,この反応はアミロースの含量測定にも用いられる.
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ヨウ(沃)素デンプン(澱粉)反応 (ようそでんぷんはんのう)
iodostarch reaction
デンプン水溶液またはデンプン粒にヨウ素液を加えると起こる鋭敏な呈色反応。10⁻5mol/l程度の微量のデンプンまたはヨウ素の検出に利用。呈色は加熱すると消え,冷却すれば再び現れる。デンプンの種類により色は異なり,アミロースでは青色,アミロペクチンでは紫色で,グリコーゲンでは褐色となる。一般にグルコース連鎖の直鎖部分が30~35以上のものでは青色,8~12で赤色となり,6以下では呈色しない。発色機構としては,デンプンの鎖状分子がつくるらせん構造の空間内にヨウ素分子がとり込まれて,いわゆるクラスレート化合物(包接化合物)をつくるためである。
執筆者:友田 修司
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百科事典マイペディア
「ヨウ素デンプン反応」の意味・わかりやすい解説
ヨウ(沃)素デンプン(澱粉)反応【ようそでんぷんはんのう】
デンプン水溶液にヨウ素を加えると起こるきわめて鋭敏な呈色反応。加熱すると色は消え,冷却すると再び呈色。デンプンの種類によって色が多少異なり,アミロースでは青色,アミロペクチンでは赤紫色。微量のヨウ素またはデンプンの検出に利用される。
→関連項目デンプン(澱粉)|ヨウ(沃)素
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ヨウ素デンプン反応
ヨウそデンプンはんのう
iodostarch reaction
デンプンがヨウ素によって青紫色に呈色する現象。これはヨウ素がデンプンに包摂されて呈色するもので,加熱すると脱色し,冷却により再び呈色する。この現象を利用し,ヨウ素滴定の終点検出や,食品中のデンプンの検出が可能になる。
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ヨウ素デンプン反応
デンプンと分子状のヨウ素が反応して青色を呈する反応.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内のヨウ素デンプン反応の言及
【電荷移動】より
… 電荷移動による分子化合物は,われわれの周囲に数多く存在している。たとえばデンプンの確認に用いるヨウ素‐デンプン反応は,デンプンのコイル状の分子鎖の中にヨウ素分子が入って電荷移動し,新しい吸収帯を生じ,ヨウ素の褐色が青色に変化するのを利用している。また,水が他の液体と異なった特性を示すのは,水分子の間に働く[水素結合]に基づいている。…
※「ヨウ素デンプン反応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」