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パレスティナ第一の川で全長約320km,川幅は約30~40m。アラビア語ではNahr al-Urdunn。レバノン山系のヘルモン山(2814m)の西斜面に源を発し,ティベリアス湖(標高-212m)を経て死海(-392m)へ注ぎ,その流域は世界最大の地溝帯を形成し,ヨルダン渓谷となる。一帯はゴールと呼ばれる肥沃な亜熱帯性の植物帯をなし,川に沿って死海まで続く細い緑地帯となり,周辺の岩山砂漠とは際だった対象をなす。ゴールの気温は夏は40℃まで上がり,冬も14℃を下らないためバナナ,かんきつ類などの果樹栽培が盛んである。農地の乏しいヨルダンの随一の農耕地帯であるが,1967年の第3次中東戦争でヨルダン川西岸地域はイスラエルの占領地となり,川は休戦ラインとなっている。聖書の故事も多く,イエスがヨハネより洗礼を受けたのもこの川である。両岸にはイェリコ,ペラ,ウンム・ケイス,死海文書の発見されたクムラン洞窟など貴重な遺跡が多い。
執筆者:塩尻 和子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
西アジアのヨルダン地溝帯を南流する内陸河川。アラビア語ではウルドゥン川、ヘブライ語ではヤルデン川という。シリア・レバノン国境沿いを走るアンティ・レバノン山脈の南端、ヘルモン山付近に、ハースバーニー川、バーニャース川などとして源を発し、イスラエルに入ってヨルダン川となり、南流していったんティベリアス湖(ガリラヤ湖)北端に流入する。その後ティベリアス湖南端から流出し、シリア・ヨルダンの国境をなす左岸の支流ヤルムーク川などをあわせ、イスラエル・ヨルダンの国境を蛇行しながら南流し、ヨルダン領内に入って最後は死海に流入して終わる。全長約350キロメートル。
ヨルダン川はイエス・キリストが洗礼を受けた川と伝えられるが、そのほか流域にはユダヤ教、キリスト教にゆかりの聖跡が多い。イスラエルはティベリアス湖からヨルダン川の水を南部のネゲブ地方へ導き、水道、工業、灌漑(かんがい)用水として利用し、ヨルダンは支流のヤルムーク川、ザルカ川から灌漑用水を取水している。国際河川であるため水資源の利用をめぐっては紛争も多い。
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