ラブ波(読み)ラブハ(その他表記)Love wave

デジタル大辞泉 「ラブ波」の意味・読み・例文・類語

ラブ‐は【ラブ波】

境界面が水平な弾性体の上に、性質の異なる表層があるときに伝わる横波表面波。水平振動だけからなり、地震波ではS波のあとに現れる。英国物理学者ラブ(A.E.H.Love[1863~1940])がその存在を理論的に証明した。→レイリー波

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精選版 日本国語大辞典 「ラブ波」の意味・読み・例文・類語

ラブ‐は【ラブ波】

  1. 〘 名詞 〙 ( ラブは Love この波の存在を証明したイギリスの物理学者の名から ) 地球表面に沿って伝搬する地震波の一種。層構造をした弾性体の場合にのみ現われる。地表での振動方向は水平で、伝搬方向と直交しているため、水平動地震計だけに記録される。

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改訂新版 世界大百科事典 「ラブ波」の意味・わかりやすい解説

ラブ波 (ラブは)
Love wave

半無限弾性体の表層の横波速度が下層より遅い場合,表面に沿って伝わる弾性波で,ねじれを伝える。この波の存在は1911年ラブAugustus Edward Hough Love(1863-1940)により理論的に証明された。地球の表面を伝わる地震波の一種もラブ波と呼ばれる。ラブ波の振幅は表層から遠ざかるにつれて減少し,振動方向は,表面に平行で伝搬方向に垂直である。伝搬速度は波長が長いほど早くなり,分散を示す。波長0の極限では表層の横波速度に等しく,波長無限大の極限で下層の横波速度に等しい。表面に平行に偏光した横波が多重反射を起こし,表層内にとらえられた波と考えられる。地球自由振動のねじれ振動は,地球の曲率が無視できる範囲で,ラブ波とみなすことができ,内部構造の研究に用いられる。次数25~220のねじれ振動は,周期が40~300秒で,ほぼ一定の群速度をもち,孤立した大振幅の長周期波(G波と呼ばれる)を形成する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラブ波」の意味・わかりやすい解説

ラブ波
ラブは
Love wave

境界面が水平である半無限弾性体の上に異なる表層があるときに伝わる表面波。横波であって,媒質中の質点は水平振動だけをする。 A.ラブがこの波の存在の可能性を証明した。振幅は深さとともに急速に減少し,波長が短いほど減衰は著しい。地震波では,S波のあとに観測される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラブ波」の意味・わかりやすい解説

ラブ波
らぶは

表面波

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世界大百科事典(旧版)内のラブ波の言及

【地震波】より

…地球の自由振動で,最も長い周期は,伸び縮み振動で54分,ねじれ振動で44分である。 表面波にはレーリー波ラブ波とがあり,前者は波の進む方向を含む鉛直面内で振動し,後者は水平面内で波の進む方向と垂直に振動する。P波,SV波,レーリー波は地球の伸び縮み振動に,SH波,ラブ波は地球のねじれ振動に対応している。…

※「ラブ波」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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