多重反射(読み)たじゅうはんしゃ

最新 地学事典 「多重反射」の解説

たじゅうはんしゃ
多重反射

multiple reflections

(1)一方向の入射X線(または電子線)に対して結晶の二つの格子面(h1k1l1)と(h2k2l2)が同時にブラッグ条件を満たすとき,二つの格子面の逆格子ベクトルUndefined control sequence \boldsymbol1,Undefined control sequence \boldsymbol2,回折波の波数ベクトルUndefined control sequence \boldsymbol1,Undefined control sequence \boldsymbol2,入射波の波数ベクトルUndefined control sequence \boldsymbol0にはUndefined control sequence \boldsymbol1-Undefined control sequence \boldsymbol0=Undefined control sequence \boldsymbol1,Undefined control sequence \boldsymbol2-Undefined control sequence \boldsymbol0=Undefined control sequence \boldsymbol2の関係があり,Undefined control sequence \boldsymbol1-Undefined control sequence \boldsymbol2=Undefined control sequence \boldsymbol1-Undefined control sequence \boldsymbol2が導かれる。これは(h2k2l2)で反射した波数ベクトルk2の波が(h1-h2,k1-k2,l1-l2)の格子面に入射し,k1の方向に反射されることを示す。このため通常消滅則により観測されない回折線も見かけ上観測されることがある。これを多重反射という。同時反射とも。電子線の場合,物質との相互作用が大きいので,頻繁にみられることもある[河原 昭・小西 博己]
(2)反射法音波探査で弾性波が境界により2回以上反射して受振されたもの。海水や軟らかい地層が地表にある場合は多重反射は多く強くなる。ウェーブガイドは多重反射が特に強くなる場合と考えられる。多重反射は深い反射信号を遮へいして有害である。情報処理の段階で相関により真の反射と区別して除去する方法として,デコンボリューション(逆たたみこみ)法がある。

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化学辞典 第2版 「多重反射」の解説

多重反射
タジュウハンシャ
multiple reflection

【Ⅰ】電子線やX線が物質により反射,回折を生じるとき,一度回折や反射を起こした波が,ふたたびほかの部分で回折や反射を起こすことを多重反射という.物質との相互作用の強い電子線の場合に顕著に現れる.原子内多重散乱と原子間多重散乱があり,前者は位相差(phase shift)として回折波に影響する.【Ⅱ】光吸収のきわめて弱い物質,あるいは濃度のきわめて小さい物質の吸収スペクトルをとるときに,光源からの光を一対の凹面鏡を用いて,多数回反射往復させること.これにより光の行程をいちじるしく長くすることができる.赤外,可視,紫外のどの波長領域にも適用できる.たとえば,NH3の光解離で生じる短寿命のNH2遊離基の吸収スペクトルが,この方法により測定された.[別用語参照]長光路赤外線ガス分析

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「多重反射」の意味・わかりやすい解説

多重反射
たじゅうはんしゃ
multiple reflection

2面以上の反射面での繰返し反射。すなわち反射光が向い合った面でさらに反射されることの繰返しを多重反射という。多重反射により薄膜による干渉が説明できる。干渉フィルタ,ファブリ=ペローの干渉計,レンズなどの反射防止膜などは,この多重反射による光波の干渉を利用してつくられている。トーランスキーの膜厚計は,多重反射による干渉を利用して薄い膜の厚さや,固体表面のわずかな凹凸を測定する計器である。

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