改訂新版 世界大百科事典 「リヤード」の意味・わかりやすい解説
リヤード
al-Riyāḍ
アラビア半島の内陸中央部にあるサウジアラビアの首都で,同名州の州都。人口409万(2004)。内陸部のハニーファ・ワーディー南岸に位置する。第2次大戦後しばらくは,土煉瓦の家と低層ビルが不規則に集まっているだけで,首都に通ずる道路は未舗装で,車も近づきにくかった。今日では,近代的ビルと街路樹の並ぶ落ち着いた都会に生まれかわった。
リヤードの歴史は,サウジアラビア建国の歴史と深く結びついており,エジプトのムハンマド・アリーに滅ぼされたワッハーブ王国(サウード王国)は1820年代にここを本拠として再建された。しかしこの第2次ワッハーブ王国も89年にラシード家に滅ぼされたが,クウェートに亡命したアブド・アルアジーズ・ブン・サウードは,1902年に40人の部下とともにこの地を奪回し,のちのサウジアラビアの建国の端初を築いた。そのときの決戦の舞台マスマク宮殿はいまも残る。サウード家の王宮のある政治的中心であるとともに,ワッハーブ派の本拠でもある。サウジアラビア政府は外国人の流入を制限し,外国公館もジェッダに隔離してきたが,最近は各国とも種々の政府官庁との接触の必要から首都にも小規模な事務所をもつようになっている。
執筆者:浅井 信雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報