リンボク(読み)りんぼく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンボク」の意味・わかりやすい解説

リンボク
りんぼく / 橉木
[学] Laurocerasus spinulosa (Sieb. et Zucc.) C.K.Schneid.
Prunus spinulosa Sieb. et Zucc.

バラ科(APG分類:バラ科)の常緑小高木。葉はヒイラギのように刺(とげ)状の鋸歯(きょし)があり、カシの木に似るのでヒイラギカシともいい、また材が堅いのでカタザクラともいう。葉は互生し、長楕円(ちょうだえん)形で長さ5~7センチメートル、先は尾状にとがる。若木の葉は縁(へり)に先が針状の鋸歯があり、老木では全縁になって波を打つ。革質で表面に光沢がある。9~10月、長さ5~8センチメートルの総状花序をつくり、径約6ミリメートルの小さな白色花を密な穂状につける。果実楕円形で長さ約8ミリメートル、先はすこしとがり、翌年の5月ころ、黒く熟す。暖地の常緑樹林内の山地に生え、関東地方以西の本州から沖縄、および台湾、中国に分布する。

小林義雄 2020年1月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リンボク」の意味・わかりやすい解説

リンボク
Prunus spinulosa

バラ科の常緑高木。ヒイラギガシ,カタザクラともいう。本州の関東以西,四国,九州,沖縄などの暖地の山中に生える。幹は高さ 5m内外,樹皮は黒褐色ではげない。葉は柄があり長さ5~8cmの長楕円形で先端は鋭く尾状にとがり,縁は波状でまばらに鋸歯があってその先は針になっている。葉身は厚い革質で光沢があり,一見サクラ属の葉にはみえない。葉柄の基部に2個の蜜腺がある。9~10月に,葉腋から総状花序を出し,白い小花を密につける。萼筒は広倒円錐形,花弁は小さくてはっきりしない。核果は広楕円形で翌年に黒熟する。

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百科事典マイペディア 「リンボク」の意味・わかりやすい解説

リンボク

バクチノキ

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世界大百科事典(旧版)内のリンボクの言及

【アズサ(梓)】より

…い,いる,ひく,はる,もと,すえ,つる,よる,かえる,や,音などにかかる枕詞として歌に詠まれた梓弓の梓にあたる植物には,古来キササゲ,アカメガシワ,オノオレ,リンボク(ヒイラギガシ)などの諸説があり一定しなかった。ところが白井光太郎がカバノキ科のヨグソミネバリ(ミズメ)説を唱え,正倉院の梓弓についての顕微鏡的調査の結果からも実証され,現在これが定説になっている。…

【サクラ(桜)】より

…本州中部以北,北海道の山地に生えるシウリザクラP.ssiori Fr.Schm.は花序の軸に葉があるが,おしべは花弁とほぼ同長で,葉は大型で,基部が心形である。バクチノキP.zippeliana Miq.(イラスト)やリンボクP.spinulosa Sieb.et Zucc.(イラスト)は暖地に分布する常緑高木で,秋に穂状の花を開く。
[栽培]
 サクラは実生,接木,挿木などで繁殖させる。…

※「リンボク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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