リーシュマニア(その他表記)Leishmania

改訂新版 世界大百科事典 「リーシュマニア」の意味・わかりやすい解説

リーシュマニア
Leishmania

原生動物の一属で,トリパノソーマ科に属する寄生原虫。種々のリーシュマニア症をひき起こす。リーシュマニアはサシチョウバエのメスにより吸血を介して伝播される。ハエの体内で増殖したリーシュマニアは,ハエの吸血吻(ふん)に達し,吸血によって最終宿主体内に侵入する。ヒトおよび脊椎動物の体内では,リーシュマニアは直径2~4μmの球形ないし卵形をしており鞭毛をもたない。ハエの体内では,長さ10~20μmの細長い形をしており鞭毛を有する。リーシュマニアには,黒熱病カラアザール)をひき起こすドノバニL.donovani,東洋腫をひき起こすトロピカL.tropicaなどが知られている。黒熱病では,サシチョウバエに刺された後,1ヵ月後くらいから脾臓が腫大し,皮膚に黒褐色の沈着が生じる。治療を行わないかぎり,1~2年の経過でほとんど死亡する。ヒトに病原性をもつリーシュマニアは何種類もあるが,分類にはまだ多くの不明点が残っている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リーシュマニア」の意味・わかりやすい解説

リーシュマニア
Leishmania

トリパノソーマと同じく血液・組織寄生鞭毛虫類に属する脊椎動物の寄生原虫。ヨーロッパおよびアジアでカラアザールを起す L. donovani,アフリカ,ヨーロッパ,東方諸国で手足や顔に瘤腫を起し潰瘍になる東方腫を起す L. tropica中南米で鼻や口腔粘膜に潰瘍を起す L. braziliensisが含まれるが,構造的にはすべて同一である。いずれもサシチョウバエが媒介するが,患者の便や分泌物からの直接感染も考えられる。人体内ではおもに脾臓,肝臓骨髄などの内皮細胞中にみられる。 (→チョウバエ )  

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百科事典マイペディア 「リーシュマニア」の意味・わかりやすい解説

リーシュマニア

動物性鞭毛(べんもう)虫綱トリパノソーマ科に属する寄生原虫。カラアザール病(黒熱病)の病原体リーシュマニア・ドノバニが著名。ほかに東洋腫という皮膚病,南米のエスプンジアという鼻咽喉(いんこう)粘膜に潰瘍(かいよう)をつくる病気の病原体もリーシュマニアに属する。いずれも2〜4μmの球形ないし楕円形,スナバエの一種サシチョウバエの雌が媒介,人体内では鞭毛を欠く。

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