オーストリアの作曲家,指揮者。20世紀最大のオペレッタ作曲家として1934年までに約30作を発表し,J.シュトラウス(子)とオッフェンバック没後衰退していたこの分野に最後の黄金時代をもたらした。ドイツ人軍楽隊長とハンガリー人の女性を両親とするレハールは,プラハ音楽院でバイオリンと作曲を修め,応召して軍楽隊長を務めながら作曲に励んだ。1902年に軍務を退いて作曲と指揮に専念し,05年ウィーンで初演した《メリー・ウィドウDie lustige Witwe》でオペレッタ史上空前の成功を収めた。第1次大戦後はアメリカから押し寄せたポピュラー音楽に人気を奪われたが,名テノール歌手タウバーRichard Tauber(1891-1948)のために書いた一連の作品(《ほほえみの国》1929など)で人気を回復した。妻がユダヤ系でありながら作品がヒトラーのお気に入りだったため,第2次大戦後の晩年は不遇だった。繊細で自然な旋律美に恵まれたレハールは,本格的に作曲を勉強したことと,20世紀初頭の新音楽やアメリカのポピュラー音楽を大胆に作品に取り入れたことで,オペレッタ史上例外的な存在である。《エバ》(1911)のように,因襲を破って悲劇的・社会的な題材も扱ったことは特筆される。オペレッタ以外の作品も非常に多く,《金と銀Gold und Silber》(1902)をはじめとするウィンナ・ワルツがとくによく知られている。
執筆者:森 泰彦
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オーストリアの作曲家。1870年4月30日、当時ハンガリー領だったコマロム(現スロバキアのコマルノ)に生まれる。軍楽隊隊長の父に音楽の手ほどきを受けたのち、プラハ音楽院でバイオリンと理論を学ぶが、ドボルザークの勧めで作曲を目ざすようになる。トリエステ、ブダペスト、ウィーンなどで軍楽隊指揮者を務め、各地を旅行した経験が、彼のオペレッタを変化に富んだものにしているという。1902年の『ウィーンの女たち』の成功以降ウィーンに定住。05年の『メリー・ウィドー』の大成功で世界的名声を博し、以後、ヨハン・シュトラウス以降でもっとも成功したウィーン・オペレッタ作曲家としての地位を確保した。48年10月24日バド・イシェルで没す。そのほかの代表作に『ジプシーの恋』(1910)、『パガニーニ』(1925)、『ロシアの皇太子』(1927)、『ほほえみの国』(1929)、そしてワルツ『金と銀』などがある。
[細川周平]
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…洗練された題材,舞踏(とくにワルツ)と高度な音楽技法の駆使によってW.R.ワーグナーの楽劇に対抗する人気を博した。20世紀に入りレハールF.Lehár(1870‐1948)の豪華なサロン劇《メリー・ウィドー》(1905)や人情喜劇《ほほえみの園》(1929)をはじめ数多くの作品が作られた。一方ベルリン風オペレッタはリンケR.Lincke(1866‐1946)の《ルーナ夫人》(1899)に始まり風刺や活力あふれる簡潔なオペレッタが書かれ,第2次大戦後はアメリカのミュージカルの逆輸入によって1948‐65年に130以上ものオペレッタが作曲された。…
…洗練された題材,舞踏(とくにワルツ)と高度な音楽技法の駆使によってW.R.ワーグナーの楽劇に対抗する人気を博した。20世紀に入りレハールF.Lehár(1870‐1948)の豪華なサロン劇《メリー・ウィドー》(1905)や人情喜劇《ほほえみの園》(1929)をはじめ数多くの作品が作られた。一方ベルリン風オペレッタはリンケR.Lincke(1866‐1946)の《ルーナ夫人》(1899)に始まり風刺や活力あふれる簡潔なオペレッタが書かれ,第2次大戦後はアメリカのミュージカルの逆輸入によって1948‐65年に130以上ものオペレッタが作曲された。…
…オーストリアでは舞踏会場における演奏にまで軍楽隊が進出したものである。オーストリアの軍楽隊出身のバンド・マスターとして,グングルJoseph Gungl(1809‐89)やF.レハールがいる。またアメリカで最も大きな活動をした軍楽隊長にJ.P.スーザがいる。…
…中世そのままの古い城砦は16世紀の対トルコ戦争,1848‐49年のハンガリー革命軍の対オーストリア防衛戦に重要な役割を果たした。喜歌劇《メリー・ウィドウ》の作曲家レハールFranz Lehár(1870‐1948)の生誕地。【稲野 強】。…
※「レハール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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