改訂新版 世界大百科事典 「レリス」の意味・わかりやすい解説
レリス
Michel Leiris
生没年:1901-90
フランスの作家,人類学者。シュルレアリスム運動に参加したが,1929年バタイユとともに脱退。人類学者としてアフリカ原住民の現地調査を進め,《アフリカの幻影》(1934)などを発表する一方で,極度の精神的沈滞とたえざる自殺への偏執から脱却しようとして,いわば自己自身に精神分析を施すように告白《成熟の年齢》(1939)を書く。以後,文学を単なる美的目的に終結させず,自己自身を変革するための言語活動ととらえ,死に憑(つ)かれた自分の人生をさまざまな角度から語る特異な自伝《ゲームの規則La règle du jeu》4巻(1948-76)を書きつづけた。マネの絵を中心にすえた《オランピアの頸のリボン》(1981)もその続編とみなしうる。この自伝連作は,言語そのものへの注目を失わずに,書くことと生きることの接点を探りつづけた貴重な証言である。ほかに評論集《獣道》(1966)など。
執筆者:清水 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報