ロージ(読み)ろーじ(英語表記)Francesco Rosi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロージ」の意味・わかりやすい解説

ロージ
ろーじ
Francesco Rosi
(1922―2015)

イタリアの映画監督。ナポリ生まれ。1940年代末からアントニオーニやビスコンティ監督らのもとで仕事をし、1958年にナポリの市場を牛耳(ぎゅうじ)るボスに刃向かう一匹狼(おおかみ)の青年を主人公にした『挑戦』で一本立ちした。以後シシリー黒い霧』(1961)、『都会を動かす手』(1963)、『黒い砂漠』(1970)、『ローマに散る』(1976)など社会の巨悪を告発するドキュメンタリー・タッチの作品を精力的に発表。かたわら、ファンタスティックな『イタリア式奇跡』(1967)、1930年代の知識人を扱った『エボリ』(1979)、実景を使ったオペラカルメン』(1984)、ガルシア・マルケス原作の映画化『予告された殺人の記録』(1987)、ユダヤ人作家プリモ・レービを描く『遙(はる)かなる帰郷』(1996)などを発表した。

[出口丈人]

資料 監督作品一覧

挑戦 La sfida(1958)
メリヤス売り I magliari(1959)
シシリーの黒い霧 Salvatore Giuliano(1961)
都会を動かす手 Le mani sulla città(1963)
真実の瞬間 Il momento della verità(1965)
イタリア式奇跡 C'era una volta…(1967)
総進撃 Uomini contro(1970)
黒い砂漠 Il caso Mattei(1970)
コーザ・ノストラ Lucky Luciano(1973)
ローマに散る Cadaveri eccellenti(1976)
エボリ Cristo si è fermato a Eboli(1979)
カルメン Carmen(1984)
予告された殺人の記録 Cronaca di una morte annunciata(1987)
パレルモ Dimenticare Palermo(1990)
遙かなる帰郷 La tregua(1996)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ロージ」の意味・わかりやすい解説

ロージ

イタリアの映画監督・脚本家。ナポリ生まれ。地元の大学で,後にイタリア大統領となるジョルジョ・ナポリターノとともに法律を学ぶ。1948年頃,ルキノ・ヴィスコンティ監督の助手となり,以後同監督の下で助監督を務めた。1962年,戦後イタリア社会の暗黒面を描いた《シシリーの黒い霧》でベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞,国際的な評価を得て,1963年《都会を動かす手》でベネチア国際映画祭金獅子賞受賞。さらに1972年の《黒い砂漠》でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞して,世界三大映画祭の全てを受賞するという快挙となった。1979年の《エボリ》でモスクワ国際映画祭金賞を受賞。ネオレアリズモのドキュメンタリー手法を取り入れ,パゾリーニ,タヴィアーニ兄弟,ズルリーニとともにイタリア映画のポストネオレアリズモを代表する存在である。

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