オランダ北部、本土と西フリジア諸島とに囲まれた細長い海域。南西―北東方向に長く、長さ約120キロメートル、幅約10~30キロメートル。中世の海進によって生じたゾイデル海の外洋側部分であったが、1932年に完成した大締切堤防によって内陸側のアイセル湖と分断された。地名は「干潟の海」の意であり、水深10メートル以内の泥海が広がる。カキ、エビ、ヒラメなどの好漁場で、夏は海水浴場となる。
[長谷川孝治]
…東西フリージア諸島は,もともと砂丘であったものが有史以後に海進によって陸地から切り離されたもので,北海側は激しい西風や波浪によって現在もなお形を変え続けている。本土との間に抱くワッデン海Waddenzeeは浅い泥海である。諸島のほとんどが牧草地ないし放牧地として利用されるほか,ワッデン海は,カキ,エビ,ヒラメなどの絶好の漁場となっている。…
…16世紀以降,泥炭採掘で泥沢地と化していたが,19世紀中に干拓地に変えられ,水位が高いため牧場や採草地に利用されている。 北部および西部の,ワッデン海Waddenzee,アイセル湖の沿岸地帯は海成粘土の地域だが,北部では農業が行われ,西部では中世から牧畜が盛んで,ことに育種については白黒の乳牛オランダ・フリーシアン種が知られ,レーワルデンの牛市はもっとも重要な年中行事である。前3世紀以降,土を盛り上げた数百のテルプterp(フリース語で〈村落〉の意)と呼ばれる丘に定住が行われ,10~16世紀中ごろにテルプを結ぶ堤防が築かれ,干拓されて海ポルダーとなった。…
※「ワッデン海」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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