ワモンゴキブリ(読み)わもんごきぶり(英語表記)American cockroach

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワモンゴキブリ」の意味・わかりやすい解説

ワモンゴキブリ
わもんごきぶり / 輪紋蜚蠊
American cockroach
[学] Periplaneta americana

昆虫ゴキブリ目ゴキブリ科に属する昆虫。前胸背板に黄色輪紋をもつ赤褐色の地色をした大形のゴキブリで、世界の熱帯亜熱帯にみられる屋内の大害虫として著名。夜行性で、夜間の活動ぶりは甚だしく、家屋内のみならず、人家周辺などにもはびこる。体長は35ミリ前後、前翅(ぜんし)長30ミリ前後。前胸背板の紋は大小変異がある。触角は長く、脚(あし)の棘(とげ)はよく目だち、また雄の尾角(びかく)は長大。雑食性。アフリカから広がったといわれ、日本では南西諸島小笠原(おがさわら)諸島に普通にみられるが、物について広がる傾向があり、鹿児島、熊本、長崎、和歌山などの諸県に出現し、近年、暖房の発達により、北海道の病院に定着した例もある。

[山崎柄根]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワモンゴキブリ」の意味・わかりやすい解説

ワモンゴキブリ
Periplaneta americana; American cockroach

ゴキブリ目ゴキブリ科。大型のゴキブリで,暖地衛生害虫として知られる。体長は雄 35mm内外,雌 33mm内外。体は赤褐色で,前胸背に黄白色の輪紋 (わもん) が目立つ。肢,触角は長く,特に肢のとげが目立つ。雄の翅は 30mm内外,雌の前翅はやや短い。尾角は角状で大きく,左右のものが「八」の字状に開く。雌雄とも肛上板は突出し,中央広く二分する。雑食性。世界の熱帯,亜熱帯に分布し,原産地はアフリカといわれる。日本では琉球列島小笠原諸島に普通であるが,北へ分布を広げ,鹿児島,長崎,熊本,和歌山などの各県からも記録され,北海道の病院でみられたこともある。 (→ゴキブリ類 )

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