出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
石川啄木(たくぼく)の処女歌集。1910年(明治43)東雲堂書店刊。一首三行書きの短歌551首を「我を愛する歌」「煙」「秋風のこころよさに」「忘れがたき人人」「手套(てぶくろ)を脱ぐ時」の5章に分けて収めてある。いずれも東京時代の作歌で都会生活の哀歓を歌った作品と、渋民(しぶたみ)村(現盛岡(もりおか)市玉山(たまやま)区渋民)、盛岡、北海道を歌った回想歌に分かれる。代表作は「はたらけど/はたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざり/ぢつと手を見る」「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ/花を買ひ来て/妻としたしむ」など。歌集の特色は生活のなかから得た青春の感懐を、庶民のことばでわかりやすく表現しているところにあり、その独自の歌風は長く国民の広い層に親しまれている。
[岩城之徳]
『『一握の砂・悲しき玩具』(講談社文庫・新潮文庫)』
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
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