さん‐ぴん【三一】
〘名〙 (「ぴん」はpinto (点の意)の変化した語か)
※
洒落本・舌講油通汚(1781)「是等のかけ引、三一
(さンぴン)かつはらひ、
一六かた目おろし」
※雑俳・川柳評万句合‐安永元(1772)信一「三
(さン)ひんもかりないやうな門
(かど)礼者」
みつ‐が‐ひとつ【三一】
※
源氏(1001‐14頃)葵「みつかひとつかにても、あらむかし」
[
補注]「源氏」の例は、
一説に四を
婉曲に表わした(三日の餠は四坏に盛るためとも、
女君の年の数だけ作るので紫の上の一四歳を表わしたとも)とする。
さん‐が‐いち【三一】
〘名〙 三つのうちの一つ。また、三分の一。
※俳諧・炭俵(1694)上「長閑さや寒の残りも三ケ一〈
利牛〉」
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デジタル大辞泉
「三一」の意味・読み・例文・類語
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三一
さんぴん
すごろくや丁半賭博(ちょうはんとばく)で、2個のさいころの目が3と1になること、あるいは、めくりかるたで一の札(ピン)が3枚になることをいう。また江戸時代には、下級侍の三一侍を略して三一ともいう。身分の低い侍や若党の1年の扶持(ふち)が3両1分であったところからこの卑称があるとも、渡り奉公の中間(ちゅうげん)は年給3両一人扶持(日に5合の玄米)であったことに由来するとも、諸説がある。のちには「さんぴん野郎」といった、相手を侮っていうことばとして使われた。また、遊興費が夜は400文、昼は600文の下等娼家(しょうか)であった四六見世(みせ)を三一長屋ともいう。賽(さい)の目の4と6の裏がそれぞれ3と1であるところからこの異称があったといわれる。
[棚橋正博]
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