三具足(読み)みつぐそく

精選版 日本国語大辞典 「三具足」の意味・読み・例文・類語

みつ‐ぐそく【三具足】

  1. 〘 名詞 〙 仏前に供える華瓶(けびょう)燭台および香炉一揃いとしていう語。
    1. 三具足〈慕帰絵〉
      三具足〈慕帰絵〉
    2. [初出の実例]「床押板にて和尚の三鋪一対、古銅の三具足置きて」(出典:正徹物語(1448‐50頃)下)

さん‐ぐそく【三具足】

  1. 〘 名詞 〙 仏前に供する華瓶(けびょう)、燭台(しょくだい)、香炉を一そろいとしたもの。みつぐそく。三具
    1. [初出の実例]「床押板に和尚の三鋪一対、古銅の三具足」(出典:正徹物語(1448‐50頃)下)

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改訂新版 世界大百科事典 「三具足」の意味・わかりやすい解説

三具足 (みつぐそく)

仏前の供養具である花瓶,燭台,香炉の三つ道具を総称していう。しかし,室町時代には供養具の性格から離れ,鑑賞具として扱う考えが生まれる。《室町殿行幸御飾記》(1437)には三具足が床の間に三幅一対の掛物とともに飾られた記録がある。このような飾付けはやがて形式化し座敷飾として伝承されることになる。押板(床の前身)に三幅一対あるいは五幅一対の掛軸をかけ,その前に折卓(おりしよく)を置き,卓上には中央に香炉を,向かって左に花瓶を,右に鶴亀の燭台を置き合わせる。この飾り法式がさらに展開すると,花瓶には,常盤木である若松や季節の草花を取り合わせて飾る様式が生まれ,独立した〈三具足の花〉形式へと進展した。この〈花〉は〈立花(たてはな)〉を意味し,やがて立花(りつか)構成法の根本原理,すなわち〈右長・左短,前短・後長〉などの枝くばり法とされた。
いけばな
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三具足」の意味・わかりやすい解説

三具足
みつぐそく

仏前や仏画の掛物の前に供える,華瓶 (けびょう) ,香炉燭台をひとそろいとした総称。鎌倉時代に新興仏教が仏前供養として用いはじめ,室町時代には茶の湯でも用いられ,書院飾りの制ができて,左に花瓶,中央に香炉,右に燭台を置くようになった。寺院では須弥壇 (しゅみだん) 前に机を置き,その上に香炉を中央にして置くのが普通である。華瓶1対,燭台1対,香炉1の場合は五具足という。

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