首里王府の役職。人臣の最高職。位階は正一~従一品で称号は親方。冠は紫地浮織冠(むらさきじうきおりかん)。禄高は知行を含め400石。近世以前の平仮名表記では,16世紀の碑文などに「みばんの大やくもい」「世あすたべ」とあり,その漢字表記が三司官また法司官である。摂政(せっせい)とともに評定所の上の御座を構成。国政の運営全般について審議し,国王の裁可を仰いで決定した。3人体制で,それぞれ給地方,所帯方,用意方を分掌し,変則交代制の三番(みばん)出仕により勤務した。任職者の出自は一部を除き王家の分家である向姓,さらに毛・翁・馬姓など名門の家系にほぼ限定されていた。国王冊封(さくほう)の謝恩使(しゃおんし)派遣で正使,江戸上りの際の副使を勤めたほか,王世子,王妃殿の大親などに任職した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
琉球(りゅうきゅう)王国の役職名。「法司(ほうし)」「世(よ)あすたべ」とも称した。3人制の役職で、国王の補佐役としては摂政(せっせい)(国相(こくしょう))に次ぐ重職。近世期には摂政とともに評定所(ひょうじょうしょ)を構成して、国事の重要案件のすべてを総理した。起源は明らかではないが、尚真(しょうしん)王の治世期(1477~1526)には、すでに王国の中枢官職として重要な役割を果たしていた。琉球名「世あすたべ」は、「世」が社会、「あす」は女性の「あむ」に相応する長老の意味、「た」は複数、「べ」は階層をさすので、共同体的な響きをもつことばだといわれている。任期は不定で、各部局の長官クラスである表(おもて)15人のなかから選抜するのが習わしであった。
[高良倉吉]
…事業の第1に,王国の行政機構(王府)の整備をあげることができる。王を頂点に〈世あすたべ(三司官)〉と称する大臣がおり,その下にヒキと呼ばれる部局があった。〈世あすたべ〉やヒキの長官は〈大やくもい〉と呼ばれ,その配下に〈せんどう(勢頭)〉〈ちくどの(筑殿)〉などさまざまな役職があった。…
※「三司官」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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