三宅一生(読み)ミヤケイッセイ

デジタル大辞泉 「三宅一生」の意味・読み・例文・類語

みやけ‐いっせい【三宅一生】

[1938~2022]服飾デザイナー。広島の生まれ。本名、一生かずなる。日本の伝統的な生地を用いた作品などで注目を集め、パリコレクションで高い評価を得るなど国際的に活躍した。平成22年(2010)文化勲章受章。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三宅一生」の意味・わかりやすい解説

三宅一生
みやけいっせい

[生]1938.4.22. 広島
[没]2022.8.5. 東京
ファッションデザイナー。革新的なコンセプトや素材,造形を導入したデザインで,ファッションのみならずアートの世界にも大きな影響を与えた。
本名三宅一生(みやけかずなる)。7歳のときに広島に投下された原子爆弾により被爆。多摩美術大学でデザインを学んだのち,1965年にパリに渡り,洋裁組合学校を経て,ギ・ラロッシュ,ユベール・ド・ジバンシー,ジェフリー・ビーンのもとで修業を積む。1970年,三宅デザイン事務所を設立し,翌 1971年にニューヨーク,1973年にパリのコレクションに参加する。人間の体や動き,布との関係性を追求し,高い機能性と着心地のよさ,美しさを兼ね備えた,前衛的なファッションを提案した。代表作として,特殊加工による細かなひだが特徴の「プリーツ・プリーズ」(1993),チューブ状の生地に購入者が自身ではさみを入れて服を仕上げる「A-POC」(1998。A Piece of Clothの略)のシリーズほか,小さな三角形のピース構成された幾何学模様のバッグ「バオバオ」(2010),折りたたむと平面になるようプレスし切り込み線の位置を工夫した洋服「132 5.」(同)がある。また,フレグランス部門でもブランド展開した。アップル創業者のスティーブ・ジョブズ特注・愛用した黒のモックネックのカットソーでも有名になった。内外の美術展に積極的に作品を出展したり企画に参加したりしたほか,2016年には国立新美術館で全仕事を紹介する回顧展が大々的に開かれた。
1977年毎日デザイン賞,1990年ヒロシマ賞(第1回),1991年フランス芸術文化勲章コマンドール,1992年朝日賞,1993年フランスのレジオン・ドヌール勲章シュバリエ,1997年紫綬褒章,1998年文化功労者,2005年高松宮殿下記念世界文化賞(彫刻部門),2010年文化勲章,2016年レジオン・ドヌール勲章コマンドールなど受賞・受章多数。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三宅一生」の意味・わかりやすい解説

三宅一生
みやけいっせい
(1938―2022)

服飾デザイナー。広島県生まれ。多摩美術大学卒業後、渡仏。パリでジバンシーなどオートクチュールのメゾン(店)で修業しているとき、その後の彼のデザインコンセプトに大きな影響を与える1968年の「五月革命」に遭遇。ニューヨークを経て帰国後、1970年(昭和45)三宅デザイン事務所設立。ファッション・ブランド「イッセイミヤケ」を立ち上げ、1971年ニューヨークで、1972年にはパリでコレクションを発表。1976年に着ることの原点に戻って服をデザインするという「一枚の布」のコンセプトで新しい服の概念を打ち出した。つねに身体とフォルム、フォルムと素材との関係における独自の造形を目ざし、布を裁断し縫製したあとにプリーツをかけるという通常と逆の発想から生まれたプリーツの服は、1992年「プリーツプリーズ」シリーズへと発展し、いまや国境を越えて広く支持されている。世界各地で展覧会の開催、アーティストとのコラボレーション(共同製作)を行うなど、世界でもっとも知られる日本人デザイナーの一人であった。1993年レジオン・ドヌール勲章シュバリエ章(フランス)、1997年(平成9)紫綬褒章(しじゅほうしょう)、1998年文化功労者、2010年(平成22)文化勲章、2016年レジオン・ドヌール勲章コマンドール章(フランス)など、国内外の受賞・受章も多数。

[深井晃子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「三宅一生」の意味・わかりやすい解説

三宅一生【みやけいっせい】

服飾デザイナー。広島生れ。1964年多摩美大卒業。翌年ファッションの勉強のためパリへ。ギ・ラロッシュ,ジバンシーなどの店をへて1970年東京に三宅デザイン事務所設立。1971年ニューヨークで初のコレクション,1972年パリで発表。1976年に発表した〈一枚の布〉は独自に開発した布を使い,東洋と西洋を巧みに取り入れ,着物の構成の考え方を服作りに生かしている。1980年代後半以降は服の造形にプリーツをとりいれ新しい服のあり方を示し大衆的な人気を集めている。高田賢三や川久保玲(コム・デ・ギャルソン),山本耀司とともに海外で最も評価される日本人デザイナーの一人。1988年パリで〈A―UN〉展開催。2010年文化勲章受章。
→関連項目倉俣史朗

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「三宅一生」の解説

三宅一生 みやけ-いっせい

1938- 昭和後期-平成時代の服飾デザイナー。
昭和13年4月22日生まれ。パリとニューヨークで有名デザイナーの助手をつとめ,昭和45年三宅デザイン事務所を開設。48年パリコレクションに初参加して以来,国際的に活動を展開。東洋と西洋の融合した独自な服作りを追求し,ハイテクを駆使した新素材の開発や衣装展の開催などにも力をそそぐ。プリーツ(ひだ)加工の婦人服は人気をよんだ。平成10年文化功労者。11年ブランドを後進にゆずる。17年高松宮殿下記念世界文化賞。18年京都賞。22年文化勲章。広島県出身。多摩美大卒。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「三宅一生」の解説

三宅 一生 (みやけ いっせい)

生年月日:1938年4月22日
昭和時代;平成時代のファッションデザイナー

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android