翻訳|forum
古代ローマ都市の公共広場で,ギリシア都市のアゴラと機能は同じ。つまり,商業活動,政治・司法の集会,宗教儀式,その他の社会活動が行われるオープン・スペースであり,市民生活の上で最も重要な都市施設であった。ただしアゴラと異なるのは,都市化の進展とともに,矩形に整備された空間となり,その周囲に列柱廊をめぐらせる例が多い。そして,都市の守護神殿,マケルムmacellumのごとき恒常的商業施設,政治活動の場としてのコミティウムcomitiumやクリア(元老院),バシリカなどがその周囲に配された。通常のローマ都市では,フォルムは南北,東西の大通りが交差する地点に設けられた。そのような典型例は帝政時代の計画都市である北アフリカのローマ都市に多く,東方属州の都市はアゴラに近い自然発生的広場が多い。
都ローマのフォルムは,最古のフォルム・ロマヌムが政治的・宗教的に最も重要である。しかし,帝政時代に入ると手狭となり,その周辺に五つの皇帝広場が建設された。
執筆者:青柳 正規
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
原義は公共広場、市場の意で、古代ローマ都市の中心部を形どった公的空間。古代ギリシアのアゴラに相当する。フォルムには、神殿、バシリカ、クーリア(元老院)、コロネード(列柱廊)、商取引の施設が建ち並び、政治社会、宗教儀式、商業活動など市民生活のもっとも重要な場所であった。ギリシアのアゴラは地形を利用して自然発生的に形成されたが、ローマでは共和政末期から都市化が進むにつれて、フォルムは長方形の空間に整備され、神殿を中心に都市の主要建築が並び、これをコロネードで囲んでいた例が多い。このような形式のフォルムは、帝政時代の北アフリカのローマ都市に多くみられる。ローマの四つの丘に囲まれたフォロ・ロマーノ(古代名フォルム・ロマヌム)は、ローマ時代最古の遺構として知られる。
[前田正明]
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…互酬と再分配を経済活動の基本構造としている社会においても祭礼や儀式と結びついた市があり,それは政治活動の場でもあった。そのような市として古代ギリシア・ローマのポリスのアゴラやフォルムforumがあり,奴隷,家畜,衣服,金銀細工品その他の取引が行われた。エンポリウムemporiumも同様の機能をもっていた。…
…他方,エンポロスemporosとよばれる海外からの商人もアテナイの支配層の庇護(ひご)と制限のもとにアゴラで貿易にたずさわった。また古代ローマの都市の中央にあった大広場はフォルムforumとよばれ,財の売買のほか,裁判や市民集会の場としても機能した。このように市場は,政治,文化,社会から独立ではなく,これらに庇護され,これらの状況のなかに組み込まれた制度であった。…
… 読者の広場とかコミュニティひろばとかいわれるように,広場はコミュニケーションのチャンネルとしての意味ももつ。古代ローマの広場をさすフォルムforumが公開討論会を意味するのも同じである。人々に開かれ何がしかの相互交流が図られる場が広場なのである。…
…列柱道路の歩道上には屋根がかけられていた。シビック・センターをなすフォルムは中央に置かれる。フォルムは周囲にコロネード(列柱廊)をめぐらした石敷きの広場で周囲に市政府関係の建物や神殿,バシリカ(市民ホール)などがあり,付近には市場や公衆便所その他の必要な公共施設が造られる。…
※「フォルム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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