日本大百科全書(ニッポニカ) 「三菱化成」の意味・わかりやすい解説
三菱化成
みつびしかせい
三菱系の元総合化学会社。量産品を中心に売上高業界第1位であったが、1994年(平成6)三菱油化と合併し、三菱化学となり、2017年(平成29)に三菱樹脂、三菱レイヨンと統合して三菱ケミカルとなった。前身の日本タール工業は三菱系の化学部門として、1934年(昭和9)三菱鉱業(現、三菱マテリアル)と旭硝子(あさひガラス)(現、AGC)の折半出資により設立された。1936年に日本化成工業と改称し、1942年に新興(しんこう)人絹を合併。1944年には旭硝子を合併して三菱化成工業となった。第二次世界大戦後は、財閥解体による旧三菱化成工業の3社分割により、1950年(昭和25)に日本化成工業として新発足。財閥商号使用禁止令の廃止に伴い、1952年にはふたたび三菱化成工業となった。戦前以来のコークス、染料、肥料、薬品に加えて、戦後は、合成樹脂、合成繊維原料など事業をさらに多角化し、1964年以降、岡山県水島地区で石油化学事業にも進出した。関係会社には関西熱化学、三菱モンサント化成、三菱軽金属工業などがあった。ブラジルをはじめ海外にも進出。1988年三菱化成と社名変更。三菱油化との合併時には福岡県黒崎、岡山県水島などに工場をもっていた。
[橘川武郎 2019年2月18日]
『三菱化成工業株式会社総務部臨時社史編集室編『三菱化成社史』(1981・三菱化成工業株式会社)』