日本大百科全書(ニッポニカ) 「三菱ケミカル」の意味・わかりやすい解説
三菱ケミカル(株)
みつびしけみかる
日本の総合化学メーカー。2017年(平成29)、三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンの三菱系化学メーカー3社が合併して誕生した。持株会社三菱ケミカルホールディングス傘下の中核企業であり、単一企業としては日本最大の化学会社である。鈴木商店が1933年(昭和8)に設けた新興人絹(じんけん)(三菱レイヨンの前身)と、三菱財閥4代目当主岩崎小弥太(こやた)が1934年に創業した日本タール工業(三菱化成の前身。のちの三菱化学)を母体とする。欧米の巨大化学メジャーに対抗し、小規模企業が乱立する日本メーカーの国際競争力向上を目的として、三菱ケミカルホールディングス傘下の3社の事業や設備を再編・合理化するために発足した。
エチレンなどの石化素材、炭素繊維、高機能フィルム・高機能ポリマー、自動車・航空機や情報・電子機器向け高機能材料などの製造・販売を主要業務とする。長浜、米原(まいばら)など(滋賀県)、四日市(よっかいち)(三重県)、大竹(広島県)、黒崎(福岡県)などに工場があり、国内の設備過剰に対処するため、水島コンビナート(岡山県)のエチレン事業を旭化成(あさひかせい)と一体運営とし、鹿島(かしま)コンビナート(茨城県)のエチレン設備1基を廃棄するなど国内設備のリストラを進めている。横浜、阿見(あみ)(茨城県)などに研究開発拠点を保有。中国石油化工(シノペック)と提携し、サウジ基礎産業公社(SABIC)と合弁事業を進めるなど海外市場の開拓に積極的である。本社は東京都千代田区丸の内。資本金532億2900円(2018)、売上高2兆5481億円(2018。連結ベース)、従業員4万0290人(2018)。
[矢野 武 2019年2月18日]