上山市(読み)カミノヤマシ

デジタル大辞泉 「上山市」の意味・読み・例文・類語

かみのやま‐し【上山市】

上山

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「上山市」の解説

上山市
かみのやまし

面積:二四一・〇〇平方キロ

北は山形市、西は南陽市、南は東置賜ひがしおきたま高畠たかはた町、東は奥羽山脈で宮城県刈田かつたしち宿しゆく町に接する。東端の蔵王山うまは刈田郡蔵王町との境界をなしている。北の山形盆地に続く小盆地地形の山間市街地で、やや東西に長い市域をなす。蔵王山馬の背より上山盆地までは蔵王山の噴火による火山砕屑物・溶岩流・火山灰の堆積した緩やかな地形で、盆地中央部に山山塊があり、その西端に三吉さんきち山がそびえる。西部地形は白鷹しらたか丘陵の南端部で、第三紀凝灰岩の低山性の山が連なり、久保手くぼてに小盆地をつくって、東を北流する川に向かって漸次低下する。盆地内を蔵王川・須川(宮川)まえ川が流れる。蔵王川は酸性が強いため魚類もすまず、農業用水にも不適である。須川は盆地中央部を流れ、沖積地をつくる。前川は南陽市の鳥上とりあげ坂付近を源流とし、西部山地からの小河川を合せ、盆地西部の農業用水となり、しん丁の東で須川に合流する。国道一三号とJR奥羽本線が縦断している。気候は冬季には偏西風が蔵王連峰に吹きつけて降雪をもたらすが、平地は風が少なく積雪も多くない。夏季は気温が高く南東風は雨をもたらし、農作物をよく育てる。

「かみのやま」の地名の起源には諸説がある。山形の地名のもとである古代の山方やまがた郷を、上山より山形市金谷かなや成沢なりさわ辺りの古名とし、上山は「上ノ山方」の意とする説(大日本地名辞書)、「往古ハ青山ノ庄、中川ノ郷ヲ神山ト申伝候」の神山説(上山温泉記)、周囲の山々があたかも四神相対するごとく並ぶ四神相応説(上山見聞随筆)などがある。安元二年(一一七六)初見の大山おおやま(「八条院領目録」内閣文庫蔵山科家古文書)の庄域に上山盆地も含まれ、のちに上下の大山庄ができると、当市域は上大山庄に含まれたと推定され、地名起源の一つともされる。

〔原始・古代〕

縄文時代遺跡は二八が確認されている。前期遺跡は標高四〇〇―六〇〇メートルの山地森林地帯にある。山元やまもと地区の大森おおもり遺跡や蔵王開拓ざおうかいたく遺跡などである。中期の遺跡は一五で最も多く、須川河岸段丘上の須田板すだいた牧野まぎの楢下ならげに多く発見されている。後期遺跡は山元地区の小白府おじらふ遺跡・葉山神社下はやまじんじやした遺跡が代表的なものである。楢下の煙硝蔵えんしようぐら遺跡は縄文時代の最末期から弥生時代への過渡的なものといわれる。金谷の土矢倉つちやぐら古墳群は埴輪をもつ前方後円墳と円墳二基からなり、六世紀初頭に位置づけられる。奈良時代の葉山古窯跡群・久保手古窯跡群も発掘され、多くの須恵器が出土している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上山市」の意味・わかりやすい解説

上山〔市〕
かみのやま

山形県南東部,山形盆地の南縁から蔵王山地にかけて広がる市。山形市の南に位置し,南東は宮城県に接する。 1954年上ノ山町,西郷村,本庄村,東村,宮生 (みやおい) 村,中川村が合体し,市制施行。 57年,山元村を編入。地名は,今の山形に対し上の山形といわれていたことに由来するという。中心市街地の上山は松平氏3万石の城下町羽州街道の宿駅として発展。天文4 (1535) 年上山義忠が月岡城 (別名上山城) を築城。城の北側には長禄2 (1458) 年に僧月秀がツルが傷を癒やしているのを見て発見したと伝えられる鶴脛 (つるはぎ) の湯がある。この古い湯町に対して明治期,城南に新湯ができた。さらに 1947年米沢街道に沿って河崎,高松,葉山などの新しい温泉が発掘され,観光温泉都市として発展した。また蔵王登山の基地で蔵王道路 (エコーライン) の起点。市域東端の蔵王山とその西麓一帯は蔵王国定公園に,南部は県南県立自然公園に属している。果樹栽培が盛んで,特に干し柿は特産。駅前には食品,機械金属,電気器具などの工業団地が形成。沢庵禅師の春雨庵 (はるさめあん) 跡,月岡城址の月岡公園があり,蟹仙洞 (かいせんどう) 博物館には中国の明,清時代の漆器類と刀剣類などの工芸品を展示。歌人斎藤茂吉の出生地で,斉藤茂吉記念館がある。羽州街道の楢下宿 (ならげしゅく) は旧宿場町として,金山越参勤交代時に使われた峠として史跡に指定されている。山形新幹線,JR奥羽本線が通る。面積 240.93km2(境界未定)。人口 2万9110(2020)。

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