山形県南東部,山形盆地の南部に位置し蔵王山西麓部を占める市。1954年に上山町と西郷,本庄,東,宮生(みやおい),中川の5村が合体,市制。人口3万3836(2010)。中心地上山は城下町,羽州街道の宿場町として,また中世以来の温泉場として発達した。上山温泉は市街地にあって,長禄年間(1457-60)に僧月秀が発見したといわれる旧湯鶴脛湯(つるはぎのゆ)と,1920年に掘削され近代的旅館・ホテルの多い新湯とに分かれる。ほかに南に河崎・高松・葉山の温泉があり,泉質はいずれも弱食塩泉,泉温60℃前後である。かつては養蚕地をひかえて製糸業が栄えたが,いまは蔵王連峰をひかえた温泉観光都市で,JR奥羽本線,山形新幹線が通じ,蔵王エコーライン(85年無料開放)の起点となる。東北中央自動車道のインターチェンジがある。カキやブドウ栽培も盛んで,関根柿と呼ばれる干しガキや麻布紙(高松紙)の特産がある。市内には沢庵禅師ゆかりの春雨庵や市出身の歌人斎藤茂吉記念館,伝統工芸類を展示した博物館蟹仙洞などがある。
執筆者:中川 重
出羽国の城下町,宿場町および温泉町。地名は,古代の最上郡の南端,山方郷に属していたことから生まれたという。1535年(天文4),時の城主上山氏が,現上山市街の南西方にあった高楯城を月岡に移したが,のち最上義光(よしあき)に滅ぼされた。最上氏の改易で上山には,1622年(元和8)能見松平氏4万石が入部し,以後元禄年間まで城主は数回交替したが,28年(寛永5)入部した土岐氏(2万5000石)時代に,藩政および城下町の整備がもっとも進んだ。藩領は蔵王山から流れる須川の流域に展開し,とくに上流部にまとまっている。97年(元禄10)藤井松平氏が入部し,以後幕末まで定着したが,家臣数は約300人。町人町は羽州街道に沿って南から,二日町,十日町,新丁と続き,大手門前の十日町に本陣があり,宿場として,商人町としてもっとも栄えた。湯町は上湯が発祥地だが近世中期以後は十日町中心の下湯が発達し,明治以後は鶴脛町の旧湯に対し,大正末に新湯が発見され,新しい湯町が形成された。1909年の戸数1012,人口7667であった。
執筆者:横山 昭男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
山形県南東郡、山形盆地の南部にある市。北を山形市と隣接する。1954年(昭和29)上山町と西郷(にしごう)、本庄(ほんじょう)、東(あずま)、宮生(みやおい)、中川の5村が合併して市制施行。1957年山元村を編入。市域東部は蔵王連峰(ざおうれんぽう)の西斜面にあたる山地で、ここを源流とする須川(すがわ)が前川を合流して市域中央部を北流し、小盆地を形成する。東部は蔵王国定公園に含まれる。西部は白鷹(しらたか)丘陵に属する丘陵性山地。JR山形新幹線・奥羽本線、国道13号が市域中央を南北に縦断する。国道348号、458号も通じる。2002年(平成14)東北中央自動車道の一部が開通、山形上山インターチェンジが設置された。中心地の上山は、上山藩(4万石~3万石)の城下町、羽州街道の宿場町として栄え、また中世以来温泉町としても発達した。市街地のほぼ中央部にある月岡公園は上山城(月岡城)跡で、その周辺に湯町、新湯、十日町の温泉がある。また市街地郊外には河崎、葉山、高松の温泉があり、これらは総称して「かみのやま温泉郷」とよばれる。蔵王エコーラインの入口にあたり、田園観光都市として整備されつつある。蔵王坊平にはキャンプ場やスキー場がつくられている。ほかに、1629年(寛永6)にこの地に配流された沢庵(たくあん)禅師を記念する春雨庵(はるさめあん)(県史跡)、金瓶(かながめ)出身の歌人斎藤茂吉(もきち)記念館、刀剣類を陳列した私設博物館の蟹仙(かいせん)洞、国の重要文化財の旧尾形家住宅(江戸中期の庄屋)、国指定史跡の羽州街道楢下宿・金山越(うしゅうかいどうならげしゅくかなやまごえ)などがある。農村部はかつての養蚕などにかわってブドウや干し柿(がき)で有名な関根カキなど果樹栽培が盛んである。面積240.93平方キロメートル(境界一部未定)、人口2万9110(2020)。
[中川 重]
『『上山市史』全5巻(1974~1985・上山市)』
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…山形県南東部,山形盆地の南部に位置し蔵王山西麓部を占める市。1954年に上山町と西郷,本庄,東,宮生(みやおい),中川の5村が合体,市制。人口3万8047(1995)。…
※「上山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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