中ノ口川(読み)なかのくちがわ

日本歴史地名大系 「中ノ口川」の解説

中ノ口川
なかのくちがわ

信濃川分流。市域南端の道金どうきん付近で分流、北流し小高こたか佐渡さわたり白根しろね新飯田にいだ西蒲原にしかんばら中之口なかのくち六分ろくぶ・同郡月潟つきがた村月潟を経て同郡黒埼くろさき大野おおので再び信濃川に合流する。全長三一・九キロ。

近世以前の信濃川は本支流の区別しがたく分流し、分流河川の自然堤防上に村落が形成された。真宗寺院の法物類裏書には「蒲原郡河中島」と記した例がしばしばみられる。山吉家伝記(森田芳夫氏蔵)によれば、信濃川は三条城下で三つに分流し、「東を本川、西を西川、中を中の口ト云、此川の間広くして、是を越後川中島」と称したという。天正五年(一五七七)の三条衆給分帳(市川浩一郎氏蔵)によれば同名衆山吉掃部が「福田之関所」に知行地をもつが、同所は信濃川の分岐点の渡場と考えられ、現八王寺はちおうじ付近に比定される。三条市東裏館ひがしうらだて善性ぜんしよう(真宗大谷派、山号福田山)はもと八王寺村の渡場にあり、山号も地名に由来し、中ノ口川筋の掘替えにより現地に移転したという(長沼金一氏所蔵文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中ノ口川」の意味・わかりやすい解説

中ノ口川
なかのくちがわ

新潟県の中央、西蒲原(にしかんばら)郡と白根(しろね)市の境界をなす、信濃川(しなのがわ)三角州面の支流。州頂の燕(つばめ)市八王寺(はちおうじ)から新潟市西区大野町までの延長31.9キロメートルの間をいう。かつては三角州面の白根島と鎧(よろい)潟の間の州島の排水路をなす自然流であったが、中世直江兼続(かねつぐ)によって人工運河に改修され現在の流路に固定された。近世左岸の鎧潟郷は長岡、村上藩や天領、諸藩領に分割統治され、右岸の白根島は新発田(しばた)領に属し、諸藩の年貢米を新潟湊(みなと)に運ぶ河川交通路として重きをなし、燕、白根、大野などは河岸場(かしば)町としてにぎわった。沿岸蒲原平野穀倉地帯で、大型機械化農業が発達し、自然堤防上の諸村は蔬菜(そさい)、青果の生産地で、とくにブドウ、モモ、ナシの産地として全国的に有名である。

[山崎久雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の中ノ口川の言及

【白根[市]】より

…人口3万8653(1995)。新潟市の南に位置し,信濃川の下流とその分流中ノ口川に囲まれた南北に細長い輪中(わじゆう)をなす白根郷の大部分を占める。標高2m前後の低湿田地帯のため洪水に悩まされてきたが,1927年信濃川の大河津(おおこうづ)分水(新信濃川)が完成し,耕地整理も行われて越後平野の先進的穀倉地帯となった。…

※「中ノ口川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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