中小企業が金融機関から融資を受ける場合,〈信用保証協会法〉(1953公布)に基づき設立された信用保証協会が一定の要件に基づいて債務の保証を行うが,同協会がそれによって損失を被る場合に備えて付保する保険が中小企業信用保険である。政府100%出資の中小企業信用保険公庫が保険者となるが,同公庫は信用保証協会の保証総額が一定の限度に達するまでは包括的に引き受けることになっている。
本制度は,中小企業に対する事業資金の融通を円滑にし,もって中小企業の振興をはかるため,〈中小企業信用保険法〉(1950公布)に基づき1950年に創設された。当初は政府が直接保険の運営に当たっていたが,58年に中小企業信用保険公庫が設立され,現在の形となった。
本保険は保証の相手方である中小企業者の資格,借入金の使途,保証金額等に応じて,(1)普通保険,(2)無担保保険,(3)特別小口保険,(4)公害防止保険,(5)エネルギー対策保険,(6)新技術企業化保険,(7)近代化保険の7種類に分類される。このほかにも一時的な救済策という意味から激甚災害関係保証にかかる保険特例措置等の特例制度も設けられている(1984現在)。
通常保険価額(保証額)に対して70%が塡補(てんぽ)されることになっており(特別小口等は80%),この面からこの保険を考えると信用保証協会が元受けした契約を中小企業信用保険公庫へ出再する再保険とみることもできる。
執筆者:高木 秀卓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…船舶保険では船舶自体の損害のほか,船舶衝突損害賠償,共同海損費用や船舶不稼働の利益損害等も塡補される。 なお公営の保険である労働者災害補償保険(政府労災),貿易保険(輸出保険)など(国が事業主体となっている)や中小企業信用保険,農業信用保証保険など(政府関係機関が事業主体となっている)も,損害塡補の保険という意味で損害保険といえる。また損害保険同様の制度として農業協同組合や生活協同組合などが実施している共済事業がある。…
※「中小企業信用保険」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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