日本大百科全書(ニッポニカ) 「中小企業信用保険公庫」の意味・わかりやすい解説
中小企業信用保険公庫
ちゅうしょうきぎょうしんようほけんこうこ
1958年(昭和33)制定の中小企業信用保険公庫法(昭和33年法律第93号)に基づいて設立された全額政府出資の政府金融機関。その目的は、中小企業者の債務の保証などにつき保険を行うとともに、信用保証協会に対してその業務に必要な資金を融通することにより、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にすることにあった。担保力の弱い中小企業の借入債務を保証するために、全国各地に信用保証協会が設立されて信用補完が図られているが、同公庫は、これら信用保証協会が行う保証債務に対して保険を付するとともに、信用保証協会がその業務遂行に必要とする資金を融通することを主業務としていた。したがって、同公庫は資本金のなかに入る保険準備基金と融資基金をもち、これを基に保険業務と長期貸付を中心とする貸付業務を行っていた。
1999年(平成11)7月の中小企業総合事業団法の施行と同時に、同公庫は中小企業事業団および繊維産業構造改善事業協会と統合され、新たに発足した中小企業総合事業団に事業承継された。2004年7月中小企業総合事業団は、独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成14年法律第147号)に基づき、産業基盤整備基金、地域振興整備公団の産業系部門と統合され、中小企業基盤整備機構となったが、中小企業信用保険公庫が行っていた中小企業信用保険事業および信用保証協会に対する融資事業は中小企業金融公庫へ移管された。なお、中小企業金融公庫は2008年10月に解散し、その業務は日本政策金融公庫に引き継がれている。
[原 司郎]