信用保証協会(読み)シンヨウホショウキョウカイ

デジタル大辞泉 「信用保証協会」の意味・読み・例文・類語

しんようほしょう‐きょうかい〔‐ケフクワイ〕【信用保証協会】

昭和28年(1953)制定信用保証協会法に基づいて設立される公益法人中小企業金融機関から融資を受けるとき、その債務保証する機関借入金返済に行き詰まったときは協会が代わって返済し、その後、協会に対して債務者が返済する形をとる。融資決定時に、債務者は協会へ信用保証料を支払う。各都道府県および横浜・川崎・名古屋岐阜大阪の各市に計52法人が設けられている。

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共同通信ニュース用語解説 「信用保証協会」の解説

信用保証協会

中小企業が金融機関から融資を受けやすくなるように、債務を保証する公的機関。地方自治体や金融機関が資金を拠出して設立し、各都道府県と横浜、川崎、名古屋、岐阜の4市に計51協会ある。倒産などで企業が借入金を返済できなくなると、協会が肩代わりする代位弁済で対応する。全国信用保証協会連合会によると、2014年度に保証した融資は約71万4千件で計8兆9394億円。代位弁済は約4万9千件で計約5265億円だった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「信用保証協会」の意味・わかりやすい解説

信用保証協会
しんようほしょうきょうかい

1953年(昭和28)施行の信用保証協会法に基づき中小企業の円滑な資金調達のために設立された公的機関。中小企業の潜在的信用力を発掘し、中小企業と金融機関を結び付ける仲介者の役割を果たし、2019年(令和1)時点で全国に51の協会がある。

 日本の事業者では、中小企業が事業所数でも就業労働者数でも圧倒的多数を占めるが、事業の将来性や経営能力があって将来発展する可能性をもっていても、信用力や担保力の不足のために金融機関からの借入れや資金調達に困難をきたしがちである。中小企業の将来性と経営手腕を適正に評価して企業の信用を高め、信用保証を通じて金融の円滑化に努め、相談、診断、情報提供などの多様なニーズに的確に対応することにより、中小企業の経営基盤の強化に寄与して中小企業の振興と地域経済の活力ある発展に貢献している。

 信用補完制度は、協会の行う信用保証制度とこれを再保険する中小企業信用保険制度を統括したものであり、中小企業金融円滑化のための日本独特の制度である。信用保証制度は協会斡旋(あっせん)保証か金融機関経由保証のいずれかを活用することにより、中小企業が金融機関から事業資金をスムーズに借り入れられることになる。中小企業者は信用保証料を支払って申し込み、協会の保証承諾書を受け取った金融機関から借り入れる。信用保証最高限度額は無担保保証で8000万円、普通保証と合算すると2億8000万円である。中小企業者が債務を返済しない場合、協会は金融機関の請求によって債務者の中小企業者にかわって債務を返済(代位弁済)する。中小企業信用保険制度は、協会が金融機関に代位弁済した場合、保険先の日本政策金融公庫(以前の中小企業金融公庫)から代位弁済額の70%(ときとして80%)を保険金として受け取る仕組みである。2019年(平成31)3月末時点の保証債務残高は約233万件、約21兆0809億円である。

[金子邦彦]

『江口浩一郎編『信用保証』第3版(2005・金融財政事情研究会、きんざい発売)』

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改訂新版 世界大百科事典 「信用保証協会」の意味・わかりやすい解説

信用保証協会 (しんようほしょうきょうかい)

小零細企業が金融機関から融資を受けようとするときに,物的担保が乏しい小零細企業の借入れを円滑ならしめるため,その借入債務を保証することをおもな業務とする特殊法人。信用保証協会法(1953公布)に基づいて全国各地に設立されており,地方公共団体,銀行,中小企業金融専門機関等が出資している。協会はその基本財産の20~50倍の保証を行い,付保された小零細企業が債務不履行に陥った場合には,協会は融資した金融機関に代位弁済をする。さらに,信用保証協会の保証は中小企業信用保険公庫によって保険される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「信用保証協会」の意味・わかりやすい解説

信用保証協会
しんようほしょうきょうかい

信用保証協会法 (昭和 28年法律 196号) に基づいて設立された特殊法人。中小企業者が事業資金を金融機関から借り入れる際に,信用力・担保力が不足していることから必要な資金の借り入れが困難な場合,それら不足を補完 (債務保証) することによって,中小企業金融の円滑化に多くの役割を果たしている。いわば「金融の最後の砦」,中小企業と金融機関とを結びつける「かけ橋」の役目を果たしている。さらに信用保証協会の「信用保証」には,中小企業総合事業団の保険 (再保険) が設けられている。利用できる保証の種類は,一般の事業資金を目的とした普通保証のほか,資金使途にそった各種の制度保証がある。信用保証協会は全国に約 50ヵ所ある。

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世界大百科事典(旧版)内の信用保証協会の言及

【中小企業】より

…その他,環境衛生関係営業者を対象にして設備資金の融資をする環境衛生金融公庫(1967年公布の環境衛生金融公庫法)がある。またこのような金融機関からの融資を補完する制度として,大型店等の大企業の進出や下請生産の減少等による中小企業の経営の不安定化に対処するために経営の合理化・近代化等に必要な資金を融資する制度として,中小企業体質強化資金助成制度があり,信用補完制度として,中小企業信用保険公社(1950年公布の中小企業信用保険法)の保険業務と資金貸付けに支えられた,全国で52の信用保証協会(1953年公布の信用保証協会法)による保証制度がある。(2)また中小企業の増資新株や転換社債を引き受けることによって,一般の証券市場を利用するのが困難な中小企業の自己資本の充実を図るための制度として,中小企業投資育成株式会社法(1963公布)により設立された中小企業投資育成株式会社(現在,東京,名古屋,大阪に3社。…

【中小企業信用保険】より

…中小企業が金融機関から融資を受ける場合,〈信用保証協会法〉(1953公布)に基づき設立された信用保証協会が一定の要件に基づいて債務の保証を行うが,同協会がそれによって損失を被る場合に備えて付保する保険が中小企業信用保険である。政府100%出資の中小企業信用保険公庫が保険者となるが,同公庫は信用保証協会の保証総額が一定の限度に達するまでは包括的に引き受けることになっている。…

【保証】より

…保証債務の範囲を一定範囲に限定したり,保証債務の限度額を一定限度にとどめたり,また一定の場合(期間の定めのない保証契約において相当期間経過したとか,主たる債務者の資産状態が著しく悪化して保証人の求償権が実現されないおそれが生じたなど)に保証人に解約権を与えたりするのが,それである。 最後に,機関保証とは,信用保証協会のように業務として保証をする機関の行う保証をいう。この機関保証には個人の行う保証のような欠陥が少なく,また回収の容易さから,近年ますます主要な役割を占めるようになっているが,その性質を民法上の保証と同じように考えてよいかどうかについては,議論のあるところである。…

※「信用保証協会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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