中沢啓治(読み)ナカザワケイジ

百科事典マイペディア 「中沢啓治」の意味・わかりやすい解説

中沢啓治【なかざわけいじ】

漫画家。広島県広島市出身。父は日本画家。国民学校1年生の時に広島で被曝。自身は奇跡的に助かるが,父,姉,弟を失った。この体験をのちに《はだしのゲン》で描くことになる。手塚治虫の《新宝島》を読んで漫画家を志す。1961年上京,1966年の母の死を契機に,被曝体験をもとにした漫画《黒い雨にうたれて》を書き始めるが取り上げる出版社はなく,2年後にようやく《漫画パンチ》に掲載された。《はだしのゲン》は1973年週刊《少年ジャンプ》(集英社)に連載を開始,1975年単行本(汐文社)4巻が刊行される。その後雑誌《市民》《文化評論》《教育評論》で連載が続けられた。評価は若年層だけではなく,大江健三郎が絶賛したこともあって幅広い読者層におよび,単行本,文庫本などをあわせ現在までに累計部数1000万部を超える超ロングセラーとなった。英・仏・独・伊語訳など18ヵ国語に翻訳された。アニメ,映画,テレビドラマも制作された。昭和天皇の戦争責任について厳しい発言を続けたことでも知られている。近年は白内障で漫画を描くことができなくなっていたが,被爆体験を語る講演活動に取り組み続けた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中沢啓治」の解説

中沢啓治 なかざわ-けいじ

1939- 昭和後期-平成時代の漫画家。
昭和14年3月14日生まれ。郷里の広島で被爆し,父,姉,弟をなくす。上京して一峰大二に師事。昭和43年「漫画パンチ」に原爆をテーマにした「黒い雨にうたれて」を発表。48年から62年まで「少年ジャンプ」に連載の自伝的作品「はだしのゲン」はベストセラーとなり,英語版は世界各地で発売され,アニメ映画化もされた。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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