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黒い雨 クロイアメ

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デジタル大辞泉の解説

くろいあめ【黒い雨】[書名]

井伏鱒二(いぶせますじ)の小説。昭和40~41年(1965~1966)発表。広島の原爆を扱った記録的作品。黒い雨に打たれた姪の結婚話が破談になるのを通して、原爆の悲劇を日常生活の場で描く。平成元年(1989)、今村昌平監督により映画化。出演、田中好子北村和夫市原悦子ほか。第63回キネマ旬報ベストテン日本映画ベストワン作品。第13回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞。

くろい‐あめ【黒い雨】

核兵器原子炉事故等による核爆発で生じた放射性物質と、高熱で瞬時に燃焼した家屋、樹木の煤(すす)などが強い上昇気流に乗って高空に達し、発生した雨雲から雨となって落下したもの。煤が溶け込んで黒い。強い放射能をもつ。
[補説]広島では原爆爆発後20分くらいから黒い雨が降った。この雨に濡れた人、雨で汚染された水を飲んだ人は放射線障害をきたした。長崎ではごく限定された地域のみで、ほとんど降らなかった。第五福竜丸が被曝したときは白い灰が降った。
書名別項。→黒い雨

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

黒い雨

核爆発で生じた放射性物質と焼けた建物の煤などが上空に達し、雨雲ができた。広島の気象台は爆心地の「東西15キロ、南北29キロ」で黒い雨が降り、このうち「東西11キロ、南北19キロ」が大雨地域と分析。国は76年に大雨地域を援護対象区域に指定した。一方、被爆地・長崎でも限られた地域で黒い雨が降ったとされ、雨を浴びて被爆したと訴える訴訟も起きている。長崎地裁は12年6月の判決で「証拠がない」と退け、福岡高裁で控訴審が続いている。

(2015-11-04 朝日新聞 朝刊 1社会)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉プラスの解説

黒い雨

1989年公開の日本映画。監督:今村昌平、原作:井伏鱒二、脚本:石堂淑朗、今村昌平、美術:稲垣尚夫。出演:田中好子、北村和夫、市原悦子、小沢昭一三木のり平石田圭祐ほか。第63回キネマ旬報ベスト・テンの日本映画ベスト・ワン作品。第13回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀主演女優賞(田中好子)、最優秀助演女優賞(市原悦子)受賞。第44回毎日映画コンクール日本映画大賞、美術賞ほか受賞。

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世界大百科事典 第2版の解説

くろいあめ【黒い雨】

井伏鱒二長編小説。1965‐66年《新潮》に連載,加筆訂正のうえ新潮社から刊行。第19回野間文芸賞受賞。原爆投下という人類史上未曾有の惨事をささやかな庶民生活の日常的視点からとらえた作品で,原爆文学の最高の達成とされる。被爆当時広島市内に住んでいた主人公閑間(しずま)重松が5年近くたって,郷里の村で療養生活をしながら当時の日記を清書するという構成になっている。多くの聞書きを含む被爆時の阿鼻叫喚の地獄と,現在の平和な山村の美しい自然と日常が対照されながら書き進められているために,原爆の悲惨さと恐ろしさがいっそう際だつ。

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大辞林 第三版の解説

くろいあめ【黒い雨】

小説。井伏鱒二作。1966年(昭和41)刊。姪の結婚を案じる主人公を通して、放射能を含む「黒い雨」で被爆した姪の発病など、原爆による悲劇を描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

黒い雨
くろいあめ

井伏鱒二(いぶせますじ)の長編小説。1965年(昭和40)1月号から66年9月号まで『新潮』に連載。広島の原爆を扱った、重い記録的小説である。被爆者閑間(しずま)重松の姪(めい)矢須子(やすこ)に、戦後5年ほどして結婚話が持ち上がるが、やがて彼女に原爆症の症状が出始め、結局破談になる。そのことをきっかけとして、重松は原爆の記録に挑む。そういう枠組みを借りて、原爆地獄が、冷静な生活者の目を通して、みごとな平静さで写し出され、原爆小説というよりは戦争小説の最高傑作となりえている。井伏文学の代表作。[磯貝英夫]
『『黒い雨』(新潮文庫)』

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世界大百科事典内の黒い雨の言及

【原爆文学】より

…作品に林京子《祭りの場》(1975),《ギヤマンビードロ》(1978),《無きが如き》,竹西寛子《儀式》(1963),《管絃祭》,渡辺広士《終末伝説》(1978)などがある。第3は,原爆がもたらした悲劇を庶民の日常生活をとおして書き,文学史に残る傑作と称される井伏鱒二の《黒い雨》(1965‐66)のように,被爆者ではないが,広島,長崎と出会った良心的な文学者たちによって,さまざまな視点から広島,長崎,原水爆,核時代がもたらす諸問題と人間とのかかわりを主題とする作品が書かれた。作品に佐多稲子《樹影》(1970‐72),いいだもも《アメリカの英雄》(1965),堀田善衛《審判》(1960‐63),福永武彦《死の島》(1966‐71),井上光晴《地の群れ》(1963),《明日》,高橋和巳《憂鬱なる党派》(1965),小田実《HIROSHIMA》(1981)などがある。…

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