デジタル大辞泉 「黒い雨」の意味・読み・例文・類語
くろい‐あめ【黒い雨】
[補説]広島では原爆爆発後20分くらいから黒い雨が降った。この雨に濡れた人、雨で汚染された水を飲んだ人は放射線障害をきたした。長崎ではごく限定された地域のみで、ほとんど降らなかった。第五福竜丸が被曝したときは白い灰が降った。
書名別項。→黒い雨
原爆投下後、爆心地と周辺に降った放射性物質を含む雨。国は大雨が降ったとされる範囲を「特例区域」とし、当時区域内にいて一定の疾病を発症した人を被爆者と認めてきた。2021年7月の広島高裁判決は、雨が特例区域より広範囲に降ったと判断。厚生労働省は特例区域に関係なく黒い雨に遭い、11種類の障害を伴う疾病のいずれかを
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1945年8月6日の米軍による原爆投下後、爆心地の広島市や周辺に降った放射性物質を含む雨。国は大雨が降ったとされる範囲を「特例区域」とし、当時区域内にいて11種類の疾病を発症した人を被爆者と認めてきた。昨年7月の広島高裁判決は、雨が特例区域より広範囲に降ったと判断し原告全員への被爆者健康手帳交付を命じ、確定した。厚生労働省は、特例区域に関係なく黒い雨に遭い、11疾病を発症しているか白内障の手術歴があることを確認できれば被爆者認定する新基準を定め、今年4月に運用を始めた。
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井伏鱒二(いぶせますじ)の長編小説。1965年(昭和40)1月号から66年9月号まで『新潮』に連載。広島の原爆を扱った、重い記録的小説である。被爆者閑間(しずま)重松の姪(めい)矢須子(やすこ)に、戦後5年ほどして結婚話が持ち上がるが、やがて彼女に原爆症の症状が出始め、結局破談になる。そのことをきっかけとして、重松は原爆の記録に挑む。そういう枠組みを借りて、原爆地獄が、冷静な生活者の目を通して、みごとな平静さで写し出され、原爆小説というよりは戦争小説の最高傑作となりえている。井伏文学の代表作。
[磯貝英夫]
『『黒い雨』(新潮文庫)』
…作品に林京子《祭りの場》(1975),《ギヤマンビードロ》(1978),《無きが如き》,竹西寛子《儀式》(1963),《管絃祭》,渡辺広士《終末伝説》(1978)などがある。第3は,原爆がもたらした悲劇を庶民の日常生活をとおして書き,文学史に残る傑作と称される井伏鱒二の《黒い雨》(1965‐66)のように,被爆者ではないが,広島,長崎と出会った良心的な文学者たちによって,さまざまな視点から広島,長崎,原水爆,核時代がもたらす諸問題と人間とのかかわりを主題とする作品が書かれた。作品に佐多稲子《樹影》(1970‐72),いいだもも《アメリカの英雄》(1965),堀田善衛《審判》(1960‐63),福永武彦《死の島》(1966‐71),井上光晴《地の群れ》(1963),《明日》,高橋和巳《憂鬱なる党派》(1965),小田実《HIROSHIMA》(1981)などがある。…
※「黒い雨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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