中種子(読み)なかたね

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中種子」の意味・わかりやすい解説

中種子(町)
なかたね

鹿児島県熊毛郡(くまげぐん)にあり、種子島(たねがしま)の中央部を占める町。1940年(昭和15)町制施行。町名は種子島の中央に由来する。町域の大半が丘陵で、海岸段丘が発達している。国道58号が通じ、北部の砂中(すななか)地区に種子島空港があり、鹿児島空港との間に定期便が飛ぶ。縄文・弥生(やよい)時代の遺跡が多く、律令(りつりょう)時代は多褹(たね)国に属する。近世、島津氏支配下の種子島氏私領。サトウキビ基軸とし、タバコ、サツマイモ、茶、野菜、花卉(かき)の栽培、畜産が盛んである。油久(ゆく)に製糖工場、農業・食品産業技術総合研究機構の種苗管理センター鹿児島農場がある。サンゴ礁や奇岩の多い犬城(いぬじょう)・大塩屋海岸、海水浴でにぎわう熊野や砂丘の続く長浜海岸など景勝地も多い。本村(ほんむら)には約3万年前(旧石器時代)の立切遺跡(たちきりいせき)があり、石斧(せきふ)、すり石、料理跡の焼土、木の実を貯蔵した土坑などが出土している。県無形民俗文化財の源太郎踊は旧暦10月16日に行われる。面積137.18平方キロメートル、人口7539(2020)。

[平岡昭利]

『『中種子町郷土誌』(1971・中種子町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「中種子」の意味・わかりやすい解説

中種子[町] (なかたね)

鹿児島県熊毛郡,種子島中央部の町。人口8696(2010)。町域はゆるやかな丘陵地からなり,北部は山林,中南部は耕地が多い。中心集落の野間は島の南北をつなぐ交通の要地で,近くには種子島空港(06年町内に新種子島空港が開港したため供用廃止)があり,大阪,鹿児島へ航空路が通じる。基幹産業は農業で,1戸当りの平均経営規模163a(1980)は県平均を大きく上回る。サトウキビを主に米作,オランダエンドウ,タバコ,サツマイモ,茶などの栽培と畜産が盛んで,農水省鹿児島サトウキビ原原種農場(現,独立行政法人の種苗管理センター鹿児島農場),製糖工場,デンプン工場などがある。水産業はサバ,カツオなどの一本釣りが主体で,近年はウナギ養殖も行われる。東海岸には波食地形が多く,犬城(いんじよう)海岸,熊野海岸などの景勝地があり,熊野海岸には種子島温泉(含ボウ硝重曹泉,25℃)がある。
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百科事典マイペディア 「中種子」の意味・わかりやすい解説

中種子[町]【なかたね】

鹿児島県種子島中部,熊毛郡の町。丘陵状の台地を占め,サトウキビ,サツマイモ,茶などの畑作が盛んで,製糖,畜産も行われる。主集落はほぼ中央の野間。種子島空港がある。137.18km2。8696人(2010)。

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