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主権民主主義 しゅけんみんしゅしゅぎ

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知恵蔵2015の解説

主権民主主義

ロシアでは、共産主義に代わる新たな国家理念として「主権民主主義」のイデオロギー大統領府副長官のウラジスラフ・スルコフによって唱えられ、それを巡って議論が展開されている。スルコフはこの理念を2005年に最初に述べたが、07年の2月に統一ロシアの会合で、また07年6月には科学アカデミー幹部会で講演して、内容をより明確にした。その内容を要約すると次のようになる。 ロシア民主主義は、ナショナルな国家性とロシアの伝統的文化の上に構築され、新たな政治制度は特殊ロシア的な性格を有する。ロシアの文化認識は全体論的、直観的、反機械論的である。つまり分析より総合、実利より理念、論理より形象、理性より直観、部分より全体が優越している。この考えは、現実政治の特性を決める公理である。ロシア政治文化の3つの特徴は、(1)「中央集権」による政治的全体性の志向、(2)政治目的の「理念化」、(3)政治制度の「人格化」、である。ロシアの理念にはメシア思想がある。第3のローマ、第3インターナショナルなどもメシア思想であった。ロシアの政治文化においては、個人がすなわち制度である。ロシア人の全体的世界観は形象化(具体像)を求め、カリスマ的な個人の形象によって表現される。統一ロシアはプーチンを指導者とみており、その綱領を「プーチン・プラン」と名付けている。ただ、ロシア文化の特殊性を強調するといっても、先進国の文化との接近は必要だ。西側の知的資源へのアプローチなくして、経済の技術革新不可能だからだ。 結局、「主権民主主義」とは、ロシア独自の道を強調する新スラブ主義的な概念だ。実際にはグルジアウクライナキルギスなどソ連から独立した諸国の政権崩壊の背後に欧米の干渉や陰謀があると疑い、米国による「民主主義の輸出」に危機意識を強めたロシアが、内政干渉はさせないとの決意をにじませた概念である。これは、何よりもロシアの国家の強大化と国家統制を正当化し、ロシアの独自性あるいは特殊性を強調し、制度よりも強い指導者に頼る個人崇拝の心理を認める。また欧米への猜疑心(さいぎしん)あるいは敵視の傾向を有し、欧米的な民主主義や人権といった価値にさほど重きを置かない。

(袴田茂樹 青山学院大学教授 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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