航空機や船舶の外国人乗員に対し、乗換え、休養、買い物などの目的で最長15日間の日本上陸を特別に許可する制度。入管難民法(出入国管理及び難民認定法)第16条に基づく。外国人乗員が乗換えの際、いったん空港や港を出て日本に入国するには査証(ビザ)が必要で、入国審査業務も煩雑である。しかしそれを避けて空港や港に滞在し続けるのは不便であることから、この制度ができた。許可を得るには、航空会社や海運会社などの申請が必要であり、認められれば乗員上陸許可書が交付される。入国審査官は乗員上陸許可を得た外国人乗員に対し、上陸期間、行動範囲、その他必要な制限を設けることができ、必要に応じて指紋を押捺(おうなつ)させることが可能である。日本上陸を許可された外国人乗員は、乗員上陸許可書の携帯・提示義務がある。頻繁に入国する外国人乗員に対しては、許可を受けた日から1年間繰り返し入国できる数次乗員上陸許可制度がある。乗員上陸は、査証などがなくとも一時的に日本への上陸を認める特例上陸の一種であり、このほかに通過上陸、緊急上陸、遭難上陸などがある。
船員などに偽装して乗員上陸許可を取得したうえで入国する事件があったため、2010年(平成22)からは、許可を取得した外国人乗員に対し、乗員上陸許可書に加え、顔写真が添付された旅券または乗員手帳の携帯・提示が義務づけられた。なお、乗員上陸許可による入国後、難民申請すれば「仮滞在」が認められるが、在留資格ではないため、申請から6か月経過しても就労は認められない。
[編集部 2016年1月19日]
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