家庭医学館 「乳輪下膿瘍」の解説
にゅうりんかのうよう【乳輪下膿瘍 Subareolar Abscess】
乳頭(にゅうとう)の乳管口(にゅうかんこう)から化膿菌(かのうきん)が侵入したことにより、乳輪の下にできる難治(なんち)性の膿瘍で、急性、慢性の炎症をくり返す病気です。膿瘍は乳輪付近で破れて瘻孔(ろうこう)(炎症によってできる管状の穴)を形成し、膿(うみ)が排出されるようになります。
これは授乳に関係なく、若い女性や中年の女性におこりやすく、未婚者や、ヘビースモーカーの女性に多い傾向がみられます。乳輪下膿瘍は、乳頭のへこんだ陥没乳頭(かんぼつにゅうとう)が原因になっていることが多いようです。
[症状]
最初、乳輪の下に痛みのあるしこりが現われ、これが徐々に大きくなってきます。乳輪部の皮膚が赤く腫(は)れて、やがて膿瘍がつくられます。この膿瘍は自然に破れるか、切開(せっかい)することによりいったん瘻孔をつくって消失します。しかし、単なる切開、排膿(はいのう)では、一時的によくなったようにみえても、多くは再発し、長期にわたり再発、寛解(かんかい)(症状の一時的鎮静)をくり返すようになります。
[治療]
膿瘍部の乳頭、乳輪の下を切開し、肉芽(にくげ)組織を切除して、手術創を開いたまま肉芽を上げて治す方法があります。
この病気を完全に治すためには、感染の原因となった乳管を含め、膿瘍の完全な切除が必要です。その際、陥没乳頭がある場合は形成術を合わせて行なうことが望まれます。