二年生草本ともいい,一年草,多年草に対応する語。植物が発芽してから開花結実して枯死するまでの長さが2年のものを指すが,実際には,秋に発芽して冬を越し,春に開花結実して枯死するものが多く,暦年の2年に及ぶけれども1年未満で植物体(胞子体)の生涯が終わるので,越年草と呼ぶことがある。温帯地方の植物の生活の様式としては,越冬するかしないかは大きな違いであり,一年草と二年草は環境への適応の方式としては大きく異なる。ただし,二年草のうち,植物体が満1年以上生存し続けるものとそうでないものを区別するのは意味があることとは考えられず,その意味では越年草という呼名のほうが植物の生活様式を表現するにふさわしい。
執筆者:岩槻 邦男
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播種(はしゅ)後、1年以上経てから開花結実して、2年以内に枯死する草本植物をさす。秋に種子を播(ま)いて翌春に開花したものを二年草とよぶことがあるが、これは越冬して2年にまたがったものであり、二年草本来の姿ではない。したがって、二年草は、春に種子を播くと、夏、秋、冬の間が生育期であり、翌年の春または夏に開花する。秋に種子を播いても翌年は生育期間の不足などから開花せず、翌々年になってから開花するものもある。このように生育期間が長いことから宿根草と同一視されやすい。
二年草は普通、春に種子を播くが、その年は茎葉部分だけの栄養成長なので、灌水(かんすい)、施肥、除草などの肥培管理が主となる。開花結実したものは枯死するので、継続して栽培するには、毎年種子を播いて育苗しておく必要がある。種播きは4月上旬から5月上旬が適期で、梅雨・高温期となる6~8月は発芽、生育ともに悪くなる。アンチューサ(ウシノシタクサ)、ツリガネソウ、ホリホック(タチアオイ)、ジギタリス(在来のキツネノテブクロ)などがおもな種類である。
[堀 保男]
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
※「二年草」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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