五十日(読み)いか

精選版 日本国語大辞典 「五十日」の意味・読み・例文・類語

い‐か【五十日】

〘名〙 (「い」は「五十」、「か」は時間の単位としての「日」)
① 日数ごじゅうにち。
※土左(935頃)承平五年二月一日「ひく舟のつなでの長きはるの日をよそかいかまでわれはへにけり」
② 誕生五十日目。また、その祝儀。→五十日(いか)の祝い
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「いぬ宮の御いかは、女御君し給ふべき」
※栄花(1028‐92頃)月の宴「御いかは里にてぞきこしめす」
[語誌](1)平安時代には子供の誕生五十日目・百日目に祝いをしたことから、五十日・百日の仮名書き「いか」「ももか」の例は多く、「色葉字類抄」にも載る。
(2)奈良時代には、数詞としての「いか」の例はないが、「五十日太(いかだ)(=筏)」〔万葉‐五〇〕と表記した例がある。このほか人名「五十日帯日子王」〔古事記‐中〕、「五十日鶴彦命」〔書紀‐崇神元年〕などにも「五十日」は借訓仮名として用いられている。→い(五十)

ごじゅう‐にち ゴジフ‥【五十日】

〘名〙
① 人の死後五〇日の喪。
山家集(12C後)中「五十日の果てつ方に、二条院御墓御仏供養しける人に具してまゐりたりけるに」
歌舞伎・高麗大和皇白浪(1809)大詰「権六、五十日、広袖の形(なり)にて、琴の唄の本を見て、煙草をのみながら、寝ころんでゐる」

ごと‐び【五十日】

〘名〙
① 「ごとばらい(五十払)」に当たる日。
[補注]②の意では、普通「ごとおび」といわれている。

ごとお‐か ゴとを‥【五十日】

〘名〙 五日や一〇日の間。転じて、ごくわずかの時日
※歌舞伎・日本晴伊賀報讐(実録伊賀越)(1880)六幕「為め矢部の屋敷へ切込まうと、思った所へ半兵衛仲間の者に止(とど)められ、五十日(ゴトヲカ)延ばす其内に」

ごとお‐び ゴとを‥【五十日】

〘名〙 月のうちの、五、一〇、一五、二〇、二五、三〇の各日をいう。納金日などにあたり、特に道路が渋滞する日として呼ばれる。→ごとび(五十日)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「五十日」の意味・読み・例文・類語

い‐か【五十日】

50日。
五十日いかいわい」の略。
五十日いかもちい」の略。

ごとお‐び〔ゴとを‐〕【五十日】

毎月の、五と十のつく日。納金などの日にあたり、道路が混みやすいとされる。

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