五十里湖(読み)イカリコ

デジタル大辞泉 「五十里湖」の意味・読み・例文・類語

いかり‐こ【五十里湖】

栃木県北部にある人造湖鬼怒川の支流男鹿おじか川をせき止めて造られた。面積3.1平方キロメートルは県内最大。昭和31年(1956)灌漑かんがい発電用などの多目的ダムとして造られた五十里ダム貯水池

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日本歴史地名大系 「五十里湖」の解説

五十里湖
いかりこ

川治かわじ温泉北方に昭和三一年(一九五六)竣工の五十里ダムによってできた人造湖。男鹿おじか川と湯西ゆにし川の合流点より下流にダムがあるため、両川上流へ湖面が広がる。満水時の湛水面積は三・一平方キロ。南端のダムから流れ出る湖水鬼怒川と合して流れ下る。

天和三年(一六八三)九月一日、日光・南会津地方を襲ったマグニチュード六・八の大地震によって、西川にしかわ(現栗山村)地内の葛老かつろう山が崩壊し、東側V字谷の男鹿川と会津西街道を遮蔽した。同地点の北方三キロで合流する湯西川と男鹿川は溜水となり、約一五〇日で独鈷沢とつこざわ村まで水位が上がり、天然の五十里湖となった。湖は湯西川ゆにしかわ方面へ約四キロ、男鹿川方面へ約五キロに及び、湖水幅は遮蔽地点で約九〇〇メートル、五十里宿付近で約三八〇メートル、石木戸いしきど付近で約二二〇メートルとなり、水深は遮蔽地点で約四七メートルであったという(享保八年「五十里湖水抜につき覚書」赤羽守治文書など)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「五十里湖」の意味・わかりやすい解説

五十里湖
いかりこ

栃木県北部、日光市(にっこうし)の北東部にある人造湖。鬼怒(きぬ)川支流の男鹿川(おじかがわ)をせき止めて1956年(昭和31)完成。国土総合開発法(1950)の利根(とね)特定事業の一環として築造され、有効貯水量4600万立方メートル、長さ267メートル、高さ112メートル。洪水調節灌漑(かんがい)、発電の多目的、重力式コンクリートダム。湖の面積3.1平方キロメートルは栃木県内の人造湖中最大。湖の中ほどに展望台があり、マス放流も行われ、憩いの場となっている。男鹿川に沿う谷は岩盤がもろく、1682年(天和2)山崩れにより、現在とほぼ同位置・同規模の古五十里湖の出現をみたが、1723年(享保8)8月に決壊し、下流一帯が大洪水となって死者千数百人に達した。湖岸を国道121号が走り、野岩(やがん)鉄道川治(かわじ)温泉駅からバスが通じる。

[平山光衛]

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世界大百科事典(旧版)内の五十里湖の言及

【鬼怒川】より

…1629年(寛永6)小貝川を分離し,1621年(元和7)から54年(承応3)にいたる数次の開削で鬼怒川が利根川の支流となったことは,画期的な流路変更であった。18世紀初めごろ支流男鹿川に山崩れでできていた天然の古五十里湖が1723年(享保8)崩壊して下流一帯が大洪水(五十里洪水)に見舞われ,千数百人の死者を出した。【平山 光衛】。…

※「五十里湖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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