五智(読み)ごち

精選版 日本国語大辞典 「五智」の意味・読み・例文・類語

ご‐ち【五智】

〘名〙 仏語
大日如来が備え持つという五種の智恵総称密教で、法界体性智、大円鏡智平等性智妙観察智成所作智五つとする。また、浄土教では仏智・不思議智・不可称智・大乗広智・無等無倫最上勝智の五つとする。
※性霊集‐一(835頃)喜雨歌「自心只是三身土、五智荘厳本自豊」
能楽で、舞を舞う時に、手足を動かして表現する型と舞姿の風情との二つを組み合わせて舞台効果を上げる五つの力法。
花鏡(1424)舞声為根「舞に五智あり」

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デジタル大辞泉 「五智」の意味・読み・例文・類語

ご‐ち【五×智】

仏語。大日如来に備わる5種の智慧。密教で、大日の智の総体の法界体性ほっかいたいしょう智と、大円鏡智・平等性智・妙観察智・成所作じょうしょさ智の四智。また、浄土教では仏智・不思議智・不可称智・大乗広智・無等無倫最上勝智の五つを阿弥陀仏の智とする。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五智」の意味・わかりやすい解説

五智
ごち
pañca jñānāni

密教で大日如来の智を5種に分けて説いたもの。 (1) 究極的実在それ自身である智 (法界体性智) ,(2) 鏡のようにあらゆる姿を照し出す智 (→大円鏡智 ) ,(3) 自他の平等を体現する智 (→平等性智 ) ,(4) あらゆるあり方を沈思熟慮する智 (妙観察智) ,(5) なすべきことをなしとげる智 (→成所作智 ) の5つ。これらは唯識説系統の経論にも説かれるが,その場合は五法 pañca dharmaと呼ぶ。

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