五眼(読み)ゴゲン

デジタル大辞泉 「五眼」の意味・読み・例文・類語

ご‐げん【五眼】

仏語真理を認識する能力を、眼になぞらえて5種に整理したもの。肉眼にくげん天眼てんげん慧眼えげん法眼ほうげん仏眼ぶつげん

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精選版 日本国語大辞典 「五眼」の意味・読み・例文・類語

ご‐げん【五眼】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。認識のはたらきを眼になぞらえて、五種に整理したもの。すなわち、肉眼(にくげん)天眼(てんげん)慧眼(えげん)法眼(ほうげん)仏眼(ぶつげん)総称。また、これを修行の階位としても見る見方がある。
    1. [初出の実例]「普照法界、朗五眼於自他」(出典性霊集‐七(835頃)和命婦於法華寺奉入千燈料田願文)
    2. [その他の文献]〔大智度論‐三三〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五眼」の意味・わかりやすい解説

五眼
ごげん
pañca cakṣus

仏教用語。 (1) 肉身の所有している「肉眼 (にくげん) 」,(2) 色界の天人が所有している「天眼 (てんげん) 」,(3) 二乗の人が一切の現象は空であると見抜くことのできる「慧眼 (えげん) 」,(4) 菩薩衆生を救うために一切の法門を照見するところの「法眼 (ほうげん) 」,(5) 仏陀の所有している,前記の四眼をすべてそなえた「仏眼 (ぶつげん) 」をさす。

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世界大百科事典(旧版)内の五眼の言及

【肉】より

…心ないし精神に決定的な優位性をおく肉との二元論がここにもうかがわれる。また,拡大したりより精確に見るための装置を用いずに物を見る際に言う〈肉眼〉は〈心眼〉と二元的に対立する意味を含むが,もとは〈肉眼(にくげん)〉として〈天眼(てんげん)〉〈慧眼(えげん)〉〈法眼(ほうげん)〉〈仏眼(ぶつげん)〉とともに仏教でいう五眼(ごげん)の一つである。物事を皮相にしか見ることができない肉眼とその他の四眼との比較の中にも肉の劣位が示されている。…

【目∥眼】より

…けれども一般に多眼も両義性を表すとされ,満天の星のごとく万象を照らしながらも多眼の当人は暗黒に取り残されているのは,ギリシア神話で100眼をもつアルゴスが一瞬の眠りにすべての目を閉じたすきにヘルメスに首を切られた例に象徴されている。 仏教には五眼(ごげん)がある。人間のもつ肉眼,天人の天眼,声聞(しようもん)乗と縁覚乗の人のもつ慧眼(えげん),菩薩の法眼,仏陀の仏眼と,それぞれ視野が異なって仏眼だけがすべてを見る。…

※「五眼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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