交通の安全および交通機関の情報伝達を目的とする信号として,鉄道,航空,船舶,道路交通のそれぞれに独自のものが用いられているが,一般に交通信号といった場合は道路交通用の信号を指すのがふつうである。すなわち,自動車,歩行者,自転車に交差点での通行権の規制を知らせるための電気機器を意味する。
最初の交通信号は1868年イギリスのウェストミンスターで用いられた赤と緑の2灯式のものといわれ,3色式は1918年にニューヨークに設置された手動信号機が最初とされている。日本では19年東京の上野広小路の交差点に手動式の信号機(赤と青の板を利用したもの)が設置されたのが最初である。現在では,青色(進行),黄色(注意),赤色(停止)の3色の使用が国際的に定められている。
交通信号の機器は,通行者に指示を与える信号灯器,灯器の点滅を制御する制御装置,交通状況の情報を収集する感知器,そして情報電送装置の4種からなる。信号制御方法には,交差点単独で制御する単独制御,道路に沿った複数の交差点を同時に制御して円滑な交通流を実現しようとする系統式制御,面的に広がった街路網の信号を同時制御する面制御の3方式がある。交通量や混雑度などの時間的変化への対応方式としては,(1)常時一定の定周期制御,(2)あらかじめ複数の周期および時間配分のパターンをセットしておき,時間帯ごとに自動的に切り替える多段制御,(3)感知器で測定される交通流に応じて,信号の青時間を自動的に伸縮させる感応制御の3方式が用いられている。
信号灯器の形式としては,日本では通常路側の柱から1.5mほどの支持パイプを道路中央に張り出して横型の灯器を取り付ける場合が多いが,欧米では,道路上に張ったロープに縦型灯器を懸垂する方式が多い。またイギリスでは路側の柱に縦型灯器を直接取り付けた方式が多く見られる。ランプの配置は横型の場合向かって右から赤,黄,青の順で,縦型の場合上から赤,黄,青の順となっている。このほか,矢印や歩行者用,自転車用,路面電車用のランプがあり,国により異なっている。
青時間の配分は交通量に比例して定められ,黄色と全方向赤時間は4~7秒程度,周期は40秒から150秒程度が用いられる。
→鉄道信号
執筆者:森地 茂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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