東京都西部を走る民営鉄道。新宿―京王八王子間(京王線)と渋谷(しぶや)―吉祥寺(きちじょうじ)間(井の頭(いのかしら)線)のほか相模原(さがみはら)線、競馬場線、動物園線、高尾線の、84.7キロメートルの路線を有する(2020)。京王線は1913年(大正2)に開業した京王電気軌道が前身で、府中(ふちゅう)から先は子会社の玉南(ぎょくなん)電気鉄道の手で建設された。井の頭線は1933年(昭和8)に開業した帝都電鉄に始まり、1940年親会社の小田原急行鉄道(翌1941年小田急電鉄となる)に合併された。小田急電鉄は1942年、京王電気軌道は1944年、東京付近の交通調整策に沿って東京急行電鉄(現、東急電鉄)に統合された。第二次世界大戦後の1948年(昭和23)、東京急行電鉄四分割のときに旧京王電気軌道と旧帝都電鉄をあわせて京王帝都電鉄として新発足した。1998年(平成10)7月、社名を京王電鉄と改めた。京王線は甲州街道に沿って走る路面電車からしだいに高速電車に発展したもので、1974年には多摩ニュータウンに至る相模原線が開通(現在は橋本まで延長)するなど、東京の西郊における重要な通勤路線となっている。なお京王線は、路面電車以外ではほかに例のない1372ミリメートル軌間を使い続けており、これと直結する都営地下鉄新宿線との間に相互乗入れを行っている。
自動車事業は別会社が行っており、鉄道以外では不動産事業の比重が比較的大きい。
[和久田康雄]
『京王電鉄広報部編『京王電鉄五十年史』(1998・京王電鉄)』▽『『鉄道ピクトリアル7月臨時増刊号 京王電鉄』(2003・鉄道図書刊行会)』
東京都(一部神奈川県)に84.7km(2005)の路線を持つ民営鉄道。1998年京王帝都電鉄が京王電鉄と改称した。新宿~京王八王子間の京王線とその支線である高尾線,相模原線その他(軌間1372mm)および渋谷~吉祥寺間の井の頭線(軌間1067mm)をもつ。京王帝都電鉄の前身は1910年創立の京王電気軌道で,京王線は甲州街道沿いの路面電車として府中まで開通した。府中から先は玉南(ぎよくなん)電気鉄道により建設されたが,やがて京王電気軌道に統合された。井の頭線は28年創立の帝都電鉄(創立当時の社名は東京山手急行電鉄)の手で建設された。京王電気軌道,帝都電鉄とも第2次大戦中は東京急行電鉄に合併されていたが,48年独立して京王帝都電鉄となった。新宿付近の地下化などで,かつての低速電車から面目を一新しており,相模原線は多摩ニュータウンに至る主要ルートとなっている。一部の列車は新宿から都営地下鉄新宿線に乗り入れ,都心まで直通するようになった。資本金590億円(2005年9月),売上高4331億円(2005年3月期)。
執筆者:和久田 康雄
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