人情噺文七元結(読み)にんじょうばなしぶんしちもっとい

改訂新版 世界大百科事典 「人情噺文七元結」の意味・わかりやすい解説

人情噺文七元結 (にんじょうばなしぶんしちもっとい)

歌舞伎狂言世話物。3幕。通称文七元結》。榎戸賢治作。1902年10月東京歌舞伎座初演配役は左官長兵衛を5世尾上菊五郎,女房お兼を尾上栄三郎(のちの6世梅幸),手代文七を市村家橘(のちの15世羽左衛門)など。三遊亭円朝の人情噺をもとに5世菊五郎がキメのこまかい写実芸で好評を博したが,6世菊五郎もまた独自の工夫を加えて当り役にした。本所の割下水にすむ左官屋の長兵衛,腕はめっぽうよい職人だが,大のバクチ好きで仕事をそっちのけにして借金だらけ,年の暮になっても台所は火の車,にっちもさっちもゆかない。この窮状をみかねた娘のお久は,お定まりの吉原へ進んでわが身を売って金を工面しようと,妓楼角海老を訪れる。お久からわけをきいた角海老の内儀は,長兵衛を招いて娘の孝心を話し,バクチをやめるよう意見をする。ここで心を入れかえた長兵衛は仕事に精をだし,必ず娘を迎えにくると誓って百両を受け取る。その帰り長兵衛は,若い手代風の男が主人の金を盗られた申しわけに身投げしようとするのを助け,今受け取った百両をめぐむ。ために家で女房お兼とけんかになるが,そこへさっきの手代文七と主人がお久を請け出して訪れる。主人は盗られたと思った金は得意先に忘れてあったと話し,長兵衛の俠気に感じてお久を文七と夫婦にして,店を持たせたいと申し出る。文七は新しい元結を考案し,文七元結と名づけて売り出すことになる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「人情噺文七元結」の意味・わかりやすい解説

人情噺文七元結
にんじょうばなしぶんしちもっとい

歌舞伎作品。3幕。世話物。 1902年 10月東京歌舞伎座で,5世尾上菊五郎が初演。通称『文七元結』。三遊亭円朝の人情噺を榎戸賢治が脚色した。ばくち好きであるが気のよい左官長兵衛は,娘お久を吉原へ売った金を,主人の金を盗まれた申しわけに身投げしようとしている手代文七にやってしまう。その後,盗まれたと思った金は得意先に忘れたものとわかり,文七の主人は恩返しにお久を請出し,文七と夫婦にしたいと申し出る。人情の機微を描いた秀作

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「人情噺文七元結」の解説

人情噺文七元結
にんじょうばなし ぶんしちもっとい

歌舞伎・浄瑠璃外題
作者
三遊亭円朝
補作者
榎戸賢治
初演
明治35.10(東京・歌舞伎座)

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