人給(読み)ひとだまい

精選版 日本国語大辞典 「人給」の意味・読み・例文・類語

ひと‐だまい‥だまひ【人給】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ひとたまい」とも )
  2. 高位の人が下の人々に物を与えること。また、そのもの。
    1. [初出の実例]「又人給乃菖蒲進登申」(出典:延喜式(927)三一)
  3. いんぐう(院宮)の給(きゅう)
    1. [初出の実例]「内給廿人、〈略〉人給在此中者、無尻付」(出典西宮記(969頃)三)
  4. 従者に貸し与える牛車(ぎっしゃ)。随行者の乗る車。副車(そえぐるま)。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「人だまひに、よろしき若人(わらは)などのせて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)薄雲)

にん‐きゅう‥キフ【人給】

  1. 〘 名詞 〙 中世荘園荘官、諸役人の職務に対する報酬として、荘園領主から給付された免税田地給田給地
    1. [初出の実例]「早除人給等之外、支配段別任員数期日以前無懈怠沙汰進」(出典:吉田神社文書‐建長四年(1252)五月・小槻淳方神判下知状)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の人給の言及

【給田】より

…日本中世の歴史用語。人給(にんきゆう)とも呼ばれ,中世の荘園制社会のもとで荘官などに対し,職務の報酬として与えられた一定の土地を意味する。これらの給田畠は年貢・公事が免除される除田(じよでん)で年貢・公事は給主の手に入り,地頭給田の場合には地頭がその土地の下地進止権をもったといわれる。…

【検注帳】より

…次が〈仏神田〉であって,荘内の神社・仏寺の経営・行事のための費用を書きあげる。その次が〈人給〉と称する項目で,荘園における諸代官の給分などが含まれる。以上が一般的なものであるが,荘園の事情により〈井料〉などの灌漑費がこれに含まれる場合が多い。…

※「人給」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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