仕事休み(読み)しごとやすみ

改訂新版 世界大百科事典 「仕事休み」の意味・わかりやすい解説

仕事休み (しごとやすみ)

仕事休みには1日の労働の中で必要に応じてとる小時間の休憩と,1年の中に適当に配されている休日とがある。新潟県新発田市の農村部では,野良に出てもすぐに仕事にかからずに吸いつけ煙草などして休むことをオリヤスミといい,午前,午後各1回の休憩をタバコヤスミナカヤスミ,食事後のをジキヤスミといっていた。昼寝は夏季期間中に限られ,それも田植過ぎから八朔(旧8月1日)までの間というように決まっており,その時間は昼食後線香1本が燃え尽きるまでの間などといわれていた。このように休憩には,職種や土地ごとに一定の名称と慣習の存在していることが多い。休日は本来,神祭のための物忌精進を目的としていたといわれ,正月,盆,節供,祭りなどがこれにあたるが,結果としてそれは労働休養になっていた。最初から労働休養を目的としたものには,1日,15日,24日とか毎日曜日などの定休日があり,官庁や会社などにならって農家商家でも定休日方式をとることが多くなった。しかしかつての農村では作業の状況に応じて休むことが多く,春の田起こしには3日働いて1日休むとか,田植後にはサナブリ休みをとるとか,収穫後には秋忘れとしての農休みをとるなどしていた。また日照りが続いたあとの降雨のときには,アメフリ正月オシメリ正月などといって臨時に休んで疲れた身体をいやすこともあった。この場合には,係が法螺貝太鼓で休む旨を触れて歩くことが多かった。休日は土地ごとに一斉にとることを原則とし,それをはずれて休んだり働いたりすることは人々の嘲笑非難の対象になることであった。
休暇 →休日
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報