犯罪によって権利を侵害された者が,刑事の公訴に付帯し,犯罪によって生じた損害の賠償を求めて公訴の被告人に対して提起する訴訟。日本では治罪法(1880公布)以来,旧刑事訴訟法(1922公布)まで認められていたが,現行刑事訴訟法(1948公布)になって廃止された。現在,ヨーロッパ大陸法系のドイツやフランスにはこの制度がある。刑事訴訟法の中に規定されているが,その実質は損害賠償を求める民事訴訟である。このように民事訴訟と刑事訴訟という異質の手続を結びつけた制度の趣旨は,刑事訴訟に現れた証拠を私訴にも利用でき,私訴と公訴との手続の重複を避け訴訟経済に資すること,事実の認定が民事と刑事でまちまちにならないこと,さらに犯人に対する民事責任の追及が確実かつ容易に行われて被害者に満足を与え,またこれが犯罪の予防にも効果をもつと考えられることにあるといわれている。
執筆者:酒巻 匡
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ノーベルがスウェーデンアカデミーに寄付した遺産を基金とする世界的な賞。1901年以降行われ、毎年、物理学・化学・生理学および医学・文学・平和・経済学の6部門において、顕著な功績のあった人に授与される。...