たとえば人を傷つけたりして他人の権利ないし利益を違法に侵害した者が、被害者に対して負う私法上の責任。普通、刑事責任に対し、不法行為による損害賠償責任をさすが、たとえば、約束違反などのような債務不履行責任をも含めて、より広く私法上の損害賠償責任の意味で用いることもある。民事責任と刑事責任とは、古代ローマ法や古ゲルマン法では完全には分化していなかったが、近代になり民事責任は不法行為による損害の填補(てんぽ)、刑事責任は犯罪に対する応報と予防、という形で分化された。今日、両者は訴訟上、民事裁判と刑事裁判として別個に処理されているが、付帯私訴のように刑事裁判のなかで民事の損害賠償を求めることを認めるところもある(フランス法)。広義の民事責任は債務不履行責任と不法行為責任とに区別されるが、日本の民法上、両者ともに過失責任主義のうえにたっている(原則)。ただ、債務不履行の場合、不履行者側が責めに帰すべき事由のなかったことを立証しなければならない(民法415条参照)のに対し、不法行為では被害者が加害者の過失の立証責任を負うのが原則である(同法709条参照)。そのほか、時効期間は、債務不履行の場合10年である(同法167条1項)のに対し、不法行為の場合には3年の短期消滅時効がある(同法724条)などの違いがある。
[淡路剛久]
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…しかし責任意識の進化の観点からみた場合のこのような遅れは,別の側面においては,すぐれた共感能力や仲間への攻撃性の抑制という長所と結びつくこともある。【作田 啓一】
【法律上の責任】
[民法における責任]
民事責任は,契約上の債務不履行に基づく契約責任と,そのような関係にない一般第三者との間で生じる不法行為責任とに大別される。刑事責任との対比においては,民事責任の主要な機能は損害の塡補(てんぽ)にある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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