仙台城跡(読み)せんだいじようあと

日本歴史地名大系 「仙台城跡」の解説

仙台城跡
せんだいじようあと

[現在地名]仙台市荒巻あらまき川内大橋通かわうちおおはしどおり川内追廻かわうちおいまわし川内山屋敷かわうちやまやしき青葉山あおばやま

天険の地に築かれた仙台城は、領内のやや南によっているものの、広瀬川の東岸には仙台平野が広がり、また奥州街道に接し、政治的・経済的な中心となる条件を備えていた。慶長五年(一六〇〇)一二月に縄張りを行い、同七年五月に一応の完成をみる山城で、本丸が青葉山にあることから近代に入り雅名として青葉城とも称するようになった。その地は伊達政宗以前に当地方を領していた国分氏のかつての居城千代せんだい城の一帯であったと伝えられ、同六年四月、政宗は壁さえつかぬままに移り、千代は仙台と改められた(「今井宗薫宛伊達政宗書状」荒尾親成家文書)。政宗の詠に「入りそめて国ゆたかなるみきりとや千代とかきらしせんたいのまつ」とある。仙台の名はこの地に千体仏があったことに由来するとも(「貞山公治家記録」慶長五年条)、また青葉山を含む仙台城域が広瀬川に囲まれ川内とよばれることから、それを音読みして「せんだい」とするという説もある。「仙台」の表記は詩をよくした政宗が唐の詩の一節よりとったともいう。なお「東奥老士夜話」などによれば、築城候補地として石巻の日和いしのまきのひより山ほか城下南の野手口のでぐち(大年寺山)、同東のつつじおかなどがあげられ、うち榴ヶ岡を希望地としたが、第一希望は幕府が認めまいと千代城を求めたところ願いどおりになったという。城の構成は本丸(最高所の標高一三一・六メートル)・二の丸・三の丸(東の丸)・西の丸などからなり、天守閣は設けられなかった。

〔築城の理由〕

一つには自然地形に恵まれていた。青葉山の西に深さ一五メートル、幅四七メートル、長さ六二メートルの堀切を設け、その奥は人馬通行の困難な山林が広がり、南は人馬不叶とされた深さ四五メートルにも及ぶたつくち渓谷で、東は六四メートルの断崖を隔てて広瀬川に面する。大規模な普請を必要としない天険の要害地であったといえよう。また段丘面に砂礫層が分布しているため、整地が容易であったうえ、構造物の建築に対しては安定した地盤となる。石垣には良質の安山岩が用いられたが、産地は仙台城から一〇キロの範囲内にあり、運搬に便利であった。用水についても、市街地より七〇―八〇メートルも高所にあったが、湧水・地下水に恵まれていた。本丸裏の谷に湧出している御清水おすずの水を本丸の貯水槽に引いて利用し、余水は二の丸にある中島なかじま池に注がれ、その余水はさらになが沼や首洗くびあらい池に流入するようになっていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「仙台城跡」の解説

せんだいじょうあと【仙台城跡】


宮城県仙台市青葉区川内にある仙台藩主伊達氏の居城跡。別名、青葉城。仙台市市街地の西方に位置する青葉山丘陵が広瀬川に突き出した場所に立地する。標高115mほどの丘陵の突端に本丸、北側に二の丸、東側に三の丸を配し、本丸の東側は広瀬川に臨む60m以上の断崖で、南側に標高差40m以上の竜ノ口峡谷があり、自然の要害になっている。また、西側の尾根は堀切りで遮断され、背後には国の天然記念物となっている青葉山の御裏林(おうらばやし)が広がる。城の大きさは徳川家康の江戸城と並ぶ、全国最大級の城であった。1601年(慶長6)、仙台藩初代藩主伊達政宗(まさむね)は中世の在地豪族であった国分氏の城跡の千代(せんだい)城跡に、仙台城本丸の築造を開始した。本丸部分は2年ほどで完成し、政宗の死後2代忠宗によって1638年(寛永15)、二の丸の造営が開始された。仙台城は、江戸期を通じて伊達氏の居城であったが、廃藩置県後、城跡は兵部省管轄となり二の丸に東北鎮台が置かれた。その後、火災や空襲により城跡の建造物はほとんど焼失した。戦後は、城跡の主要地域は仙台市によって都市公園として整備され、西側の御裏林を含む地域は東北大学植物園となっている。石垣修復事業の実施にともなう発掘調査が1997年(平成9)から行われ、その結果、現在の石垣の背後から大規模な階段状石列や築城期の石垣など、3期にわたる石垣の変遷が確認された。また、本丸からは石敷き遺構や大広間の礎石跡、巽櫓(たつみやぐら)跡などが確認され、金箔瓦やヨーロッパ製ガラス器、寛文の朱書のある石材や慶長12年(1607)の墨書のある木簡などが出土した。このように東北の大大名であった伊達氏の居城の仙台城跡は、発掘調査によって石垣の変遷や本丸地域の遺構が明らかにされつつあり、かつ石垣を中心とした遺構の保存状態が良好であることや、わが国の近世を代表する城跡であることから、2003年(平成15)に国の史跡に指定された。JR東北新幹線ほか仙台駅から仙台市営バス「仙台城跡」下車、徒歩すぐ。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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