仙道古墳(読み)せんどうこふん

日本歴史地名大系 「仙道古墳」の解説

仙道古墳
せんどうこふん

[現在地名]三輪町久光 仙道

目配めくばり(四〇五メートル)から南に派生した標高四九―四六メートルの台地上に立地する。古墳時代後期の装飾古墳で国指定史跡。昭和五二年(一九七七)に発掘調査が実施された。当時は土取りによって墳丘が大きく形を変えていたが、平成七年(一九九五)以降の調査・整備事業により、現在は築造当時の姿に復原されている。直径四九メートルの大型円墳で、周溝が二重に巡る。周溝および墳丘からは円筒埴輪朝顔形円筒埴輪・柵形埴輪・人物埴輪馬形埴輪・家形埴輪が出土した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「仙道古墳」の解説

せんどうこふん【仙道古墳】


福岡県朝倉郡筑前町久光にある古墳。筑後平野の北部、朝倉山塊から南に派生する阿弥陀ヶ峯丘陵の山麓にある。一帯の約50基の円墳が阿弥陀ヶ峯古墳群を形成しており、仙道古墳はこのうち平野部に営まれた最大の円墳である。1977年(昭和52)の発掘調査で2段築成の墳丘であることが判明し、1978年(昭和53)に国の史跡に指定された。墳丘斜面に葺石(ふきいし)をもち、直径約33m、現存高約4mで、その外側に幅2~3m、深さ約1mの溝を2重にめぐらしている。主体部は南西に開口する横穴式石室で、盗掘にあってはいたが、その全形はほぼ推察できた。玄室は墳丘中央にあり、幅2~2.4m、長さ3mで、高さは壁面の2m以上が残り、床面には敷き石があり、現存する腰石、袖石および仕切り石の全面にわたって装飾文様が描かれていた。文様は円文や三角形文などの幾何学文で、赤と緑の色が使われている。石室からは玉や釧(くしろ)などの残存が出土し、墳丘の外周部分からは盾持ちの武人形埴輪(はにわ)や馬形埴輪などが発見され、6世紀に属する古墳であることが判明。装飾古墳として、また九州には数少ない形象埴輪を有する特色ある古墳である。現在、古墳公園として整備され、毎年、春・秋に石室を一般公開。西日本鉄道天神大牟田線朝倉街道駅から西鉄バス「新町」下車、徒歩約20分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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