伊勢海(読み)いせのうみ

精選版 日本国語大辞典 「伊勢海」の意味・読み・例文・類語

いせ‐の‐うみ【伊勢海】

  1. [ 一 ] 伊勢湾のこと。伊勢国の海をさす場合もある。歌枕。
    1. [初出の実例]「神風の 伊勢能宇美(イセノウミ)大石(おひし)に 這(は)ひ廻(もとほ)ろふ 細螺(しただみ)の」(出典古事記(712)中・歌謡)
  2. [ 二 ] 催馬楽(さいばら)曲名平調(ひょうじょう)。律の部に属する。「楽家録‐六」所収「催馬楽歌字」の「いせのうみのきよきなぎさにしほがひに」で始まるものをさす。平安中期に最も栄え、室町末期に絶えた。現在のものは、寛永三年(一六二六)四辻大納言季継が古譜により再興したもの。催馬楽の代表曲。

いせ‐かい【伊勢海】

  1. 伊勢湾のこと。いせのうみ。

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改訂新版 世界大百科事典 「伊勢海」の意味・わかりやすい解説

伊勢海 (いせのうみ)

催馬楽(さいばら)の曲名。歌詞は〈伊勢の海の 清きなぎさに しほがひに,なのりそや摘まむ 貝や拾はむや 玉や拾はむや〉。平調(ひようぢよう)音を宮(きゆう)とする律の部に属し,拍子10。旋律は,今日は廃絶した唐楽曲《拾翠楽(じゆすいらく)》の破に由来するという。室町末の動乱期に伝承が絶えたのを,1626年(寛永3)四辻季継が再興し,今日に至る。《安名尊(あなとうと)》《更衣(ころもがえ)》などとともに,催馬楽の有名曲。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伊勢海」の意味・わかりやすい解説

伊勢海
いせのうみ

催馬 (さいばら) の曲名。「いせのうみの…」という歌い出しを曲名とする。朝覲 (ちょうきん) 行幸宴席の御遊 (ぎょゆう) などに演奏された律の曲の代表曲として,「更衣 (ころもがえ) 」とともに知られたが,室町時代に廃絶。寛永3 (1626) 年または天和3 (83) 年に,四辻季嗣によって古譜に基づいて再興され,その後の催馬楽復曲の範となった。平調 (ひょうぢょう) を主音とし,五拍子というリズムパターンによる曲。雅楽管弦の「拾翠楽 (じゅすいらく) 」の旋律を応用して作られたともいう。

伊勢海
いせかい

伊勢湾」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の伊勢海の言及

【伊勢湾】より

…本州中央部の大湾で,古東海湖に海水が浸入して生じた。伊勢海(いせのうみ∥いせかい)ともいう。湾口の志摩半島と渥美半島の間に答志(とうし)島,菅島,神島などがあり,菅島水道,伊良湖水道により太平洋に通じる。…

【伊勢湾】より

…本州中央部の大湾で,古東海湖に海水が浸入して生じた。伊勢海(いせのうみ∥いせかい)ともいう。湾口の志摩半島と渥美半島の間に答志(とうし)島,菅島,神島などがあり,菅島水道,伊良湖水道により太平洋に通じる。…

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